介護以外のシステム導入で導入費用総額が割高になるケースも
株式会社矢野経済研究所は、国内の介護システム市場を調査し、市場規模推移、参入企業動向、将来展望を明らかにしました。2021年度は電子帳簿保存法(電帳法)の改正、インボイス(適格請求書)制度などの制度変更があり、介護サービス事業者のペーパーレス化・DX化(紙の請求書も電子で一元管理等)が進んだものの、介護システム市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比106.9%の245億2,400万円と微増となったと推計されました。
微増となった背景として、コロナ禍での資金繰り支援の対策効果が以前より薄れ、慢性的な人手不足の中、光熱費や燃料費、食品やその他物品の急速な価格の高騰で経営環境が悪化したと推察されるほか、ペーパーレス化のためのシステムは一般企業向けの汎用システムが利用されており、介護請求等と連携していないなど介護業務に特化しておらず業務の効率化が難しく、介護システムとは別のシステム導入を行うことになり、システム費用が割高になっているケースが散見されました。
同社では、2022年度も市場ではコロナ禍や半導体等の部品不足による導入遅延などの影響が続いており、また、人手不足や物価高騰など介護サービス事業者の経営難を要因とした、システム導入等を一旦見送るケースなども想定される一方、2024年の介護報酬改定を見据え、補助金を活用したシステム投資が行われることで、介護システム市場規模は微増で推移する、と見通しを立てています。
株式会社矢野経済研究所「介護システム市場に関する調査を実施(2022年)」
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