経営者や介護職員の高齢化、コロナ禍の利用控えとコスト高などが要因に
東京商工リサーチが1月27日に公開したレポートで、2022年の老人福祉・介護事業(介護事業者)において、倒産もしくは休廃業・解散した事業者数が過去最多の638事業者に上ったことが分かりました。2022年に倒産以外で、事業停止した休廃業・解散の件数は、過去最多だった2020年の455件を40件上回る495件と急増。経営者や介護職員の高齢化、コロナ禍の利用控えとコスト高による業績不振などが複合的に絡んでいる、と同社では分析しています。
2018年では445件だった介護事業者の休廃業・解散は、2018年度の介護報酬プラス改定で先行きに明るさも出て、2019年は395件に減少。しかし、2020年は新型コロナ感染拡大による利用控えや感染防止の対策費用などが負担となり過去最多の455件に増加していました。2021年は、コロナ関連の資金繰りなどの支援効果で、428件に減少したものの、2022年に入り、支援効果の薄れや利用者数の回復遅れ、物価高、コストアップなどが重なり、過去最多の件数となりました。
同社では今後の見通しとして、「2024年度は介護報酬の改定が予定されるが、大幅なプラス改定は期待できず、本格化する高齢化社会に備え、介護事業者の経営力強化は重要さを増している。だが、コロナ禍で資金面を含めて体力が疲弊している小・零細事業者も少なくない。コロナ関連支援の縮小も進行し、2023年は先行きの厳しさから休廃業・解散がさらに増加する可能性も高まっている」としています。
東京商工リサーチ「2022年の介護事業者 休廃業・解散が過去最多、コロナ感染防止の利用控えや物価高が直撃~ 2022年「老人福祉・介護事業」の休廃業・解散調査 ~」
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