発生要因 教育・知識・介護技術等に関する問題が最多
厚生労働省は令和3年度における「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく、令和3年度の対応状況等に関する調査結果を公表しました。この調査は高齢者虐待防止法に基づき、全国の市町村や都道府県で行われた、高齢者に対する虐待への対応状況をまとめたもので、平成19年度から毎年行われています。
養介護施設従事者等による高齢者虐待について、相談・通報件数は2.390件、虐待判断件数は739件となり、いずれも平成19年度の調査開始以来で最大の数値となりました。虐待の事実が認められた施設・事業所の種別について、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が228件で最も多く、次いで「有料老人ホーム」が218件、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が100件、「介護老人保健施設」が39件でした。相談・通報者について、「当該施設職員」がで最も多く29.8%、次いで「当該施設管理者等」が16.3%でした。虐待の発生要因(複数回答)としては、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が最も多く56.2%、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」が22.9%、「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」が21.5%、「倫理観や理念の欠如」が12.7%でした。
これを受けて厚生労働省では、昨年末に開催された社会保障審議会介護保険部会の介護保険制度の見直しに関する意見のなかで、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等、高齢者が利用する施設等に対して、指針の整備など虐待防止措置を適切に講じてもらうための方策を講じることを含め、虐待防止対策を推進していくことを確認、都道府県・市町村における、相談支援や調査研究等に係る体制整備を促すほか、介護サービス事業所・施設の職員の心理的負担の軽減は、高齢者虐待防止の観点からも有益であり、推進していくことが重要である、としています。
厚生労働省 令和3年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
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