独立行政法人 福祉医療機構が3,316 の社会福祉法人を対象に2023年1~2月にかけて実施した「2022 年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査」の集計結果をテーマごとに10回にわたりご紹介します。4回目は「退職者の状況」について。
退職者を出さないために様々な取り組みを実施
介護職員については、2021年度に96.1%の施設で退職が発生し、そのうち54.8%が勤続3年未満でした。看護職員については、56.8%の施設で退職が発生。勤続1年未満での退職が33.8%でした。
退職者を出さないための工夫として各施設が行なっていることとして、
研修、スキルアップ
・入職後の研修に力を入れ、本人が安心して業務ができるようになるまでサポート
・セルフキャリアドック導入
・キャリアパス制度の導入
異動や配置転換
・人間関係に起因する配置転換の実施
・定年者の雇用延長
・職員相談体制を整え人間関係等に不安を抱えている職員に対して希望に合ったユニットへの異動等行い離職者を減らすようにしている
業務の効率化、省力化
・ICT導入等による労働環境の改善
・ICT化及び周辺業務を行うケアアシスタント採用等による介護負担の軽減
・福祉機器の活用により職員の負担軽減を図る
・目標管理制度と人事考課制度のリンク
面談の実施、相談窓口や意見箱などの設置
・定期的な個人面談等
・職員の状況把握と必要に応じた面談を行い、働きやすい環境を共に考えている
・日ごろから声掛けをして、少しでも普段と違う様子がわかるとすぐに面談するようにしている
・職員同士褒めあう「いいねカード」の送受、施設長と談話できるカフェの設置
メンタルヘルスケア、勤務環境改善
・職員からのヒアリング、休暇の取りやすい職場環境
・ライフワークバランスの推進(有給休暇取得率の向上等)、職員満足度調査の実施
・有給休暇を毎月1日以上取得するよう促進している
処遇改善や福利厚生の充実
・賃金の改善、研修の充実、休暇取得の促進、非常勤職員の常勤への登用
・定年到達前の介護職員は資格の有無を問わず原則正職員待遇としている
・処遇改善加算手当や処遇改善支援補助金等の交付の誠実な履行
などが挙がりました。
独立行政法人 福祉医療機構「2022 年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査について」
【関連トピックス】
最新データで見る特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善実態(1)人材紹介会社の利用
最新データで見る特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善実態(2)人員不足の状況
最新データで見る特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善実態(3)不足人員への対応策
最新データで見る特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善実態(5)新卒採用の状況
最新データで見る特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善実態(6)中途採用の状況
【関連資料】