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財務諸表から読み解く 黒字の特養・赤字の特養(1)2022年度の経営状況

福祉医療機構は「特別養護老人ホームの経営状況について」と題した調査分析結果を公表しました。2022年度は利用率低下や水道光熱費の増加により、特養のサービス活動増減差額比率は低下。従来型、ユニット型ともに赤字施設割合が拡大し、とくに従来型では半数近くの施設が赤字となったことを明らかにしました。

従来型もユニット型も定員規模が大きいほどサービス活動増減差額比率は高い傾向があり、赤字施設は利用率の低さに加え、従事者1人当たり人件費が高いという事情があることもわかってきました。

特別養護老人ホーム 2022年度の経営状況

企業で言えば利益率に当たり、社会福祉法人の代表的な経営指標とも言える「サービス活動収益対サービス活動増減差額比率」は、(以下、サービス活動増減差額比率)2022度が0.3%、ユニット型が4.1%で、それぞれ2021年度から1.1ポイント、0.7ポイント低下しました。

過去6年間の推移でみると、従来型、ユニット型ともに2020年度以降、サービス活動増減差額比率が急速に低下しています。やはりコロナ禍の影響は大きく受けていると見られます。

 実際、収益に最も大きな影響を及ぼす2022年度の特養入所利用率は、従来型が92.7%、ユニット型が93.3%で、こちらも2021年度からそれぞれ1.0ポイント、0.5イント低下しました。そして2022年度の特養入所待機者数も従来型が111.1人、ユニット型が63.2人。この数字も2021年度比でそれぞれ16.5人、7.2人減少し、ともに2016年度以降で過去最低の数字となりました。

 また、ウクライナ危機以降、エネルギー関連を中心に全世界的な物価高となっています。このことを反映するかのように2022年度のサービス活動収益対水道光熱費率(以下、水道光熱費率)は従来型が6.0%、ユニット型が5.4%で、いずれも前年度から1.1ポイント上昇しました。この上昇幅は、サービス活動増減差額比率の低下幅と同程度あるいはそれ以上です。

 つまるところ特養入所利用率を維持できたとしても水道光熱費の上昇がこれまでの収益を吸収してしまうと解釈できます。もちろん利用率が低下した施設ではこの点も併せてダブルパンチの打撃を受けることになります。

この結果、2022年度の赤字施設割合は、従来型が48.1%、ユニット型が34.5%で、いずれも前年度から拡大しました。従来型の約半数が赤字となる極めて深刻な状況と言えます。

一方、2022年度の利用者1人1日当たりサービス活動収益(以下、利用者単価)は、従来型が1万2787円、ユニット型が1万4944円で、それぞれ381円、379円上昇しました。この点について福祉医療機構は、2022年10月に新設された介護職員等ベースアップ等支援加算の影響が最も大きく、これを2021年度介護報酬改定で新設された科学的介護推進体制加算(I)・(II)算定率上昇が後押ししていると分析しています。

独立行政法人福祉医療機構 「2022 年度 特別養護老人ホームの経営状況について」

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【関連資料】

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