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【ニュース解説】老健 約半数で「同一法人・関連法人以外の病院」と連携 医師のオンコール体制「あり」 73.9%

 2024年度介護報酬改定では、診療報酬との同時改定だったことや国が2025年度の完成を目指す地域包括ケアの構築時期の目前だったこともあり、医療と介護の連携に関する報酬改定や要件強化が積極的に行われました。中でも介護老人保健施設(老健)では、協力医療機関との連携体制の構築が義務付けられたことは注目点の1つです。その意味で従来からの老健と協力医療機関の連携体制がどのような状況であったかは気になるところです。

そうした中、全国老人保健施設協会が令和5年度老人保健事業推進費等補助金で行った「介護老人保健施設における医療ニーズへの対応力向上にかかる調査研究事業報告書」が公表されました。同報告書に記載された各種データは、先般の介護報酬改定議論でも利用されたものです。 そこで今回、改めてこの内容を解説します。調査は、2023 年 8 月時点で全国老人保健施設協会正会員だった3,556 施設を対象として、郵送による悉皆(しっかい)調査(いわゆる全数調査が目標)として同年8月22日~9月22日まで実施されました。

協力医療機関の病院件数 平均1.7件 半数の老健が「同一法人・関連法人以外の病院」と連携

協力医療機関の病院件数は全体平均が1.7件。分布をみると、「1件」が半数以上の54.5%、次いで「2件」が21.9%、「3件以上」が18.2%で、施設類型別でも同様の順位でした。また、協力医療機関の診療所件数は全体平均が0.5件。こちらの分布は、「0件」が半数以上の55.4%、次いで「1件」が29.1%、「2件」が5.3%など。

施設類型型別でもほぼ同様の傾向ですが、特徴的だったのは、「その他型」では0件よりも1件の割合が多く、「療養型」では同率だったことです。老健の場合、医療依存度の高い入所者が多く、回答施設の半数以上が定員100人以上であることなどが、協力医療機関で病院依存度が高い要因と考えられます。

全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における医療ニーズへの 対応力向上にかかる調査研究事業 報告書」

協力病院との関係の詳細については、回答施設全体では「同一法人または関連法人以外の病院が主である」が最多の47.7%。「併設病院が主である」が27.3%、「併設でない同一または関連法人の病院が主である」が24.1%です。施設類型別では、「超強化型」はそれぞれの割合が拮抗しているのに対し、「加算型」、「基本型」」では「同一法人または関連法人以外の病院が主である」が半数以上、「その他型」では「同一法人または関連法人以外の病院が主である」が8割超でした。

全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における医療ニーズへの 対応力向上にかかる調査研究事業 報告書」

協力病院の診療科目 「内科」「整形・形成外科」「外科」多く

協力病院の診療科目(複数回答)は、「内科」が最多の94.3%。次いで「整形外科・形成外科」が79.0%、「外科」が73.8%で、さらに「泌尿器科」が57.2%、「皮膚科」が53.6%、「脳神経外科」が52.3%と5割台で続きました。整形外科・形成外科が多いのはリハビリテーション関連と思われます。また、調査からは入所者の基礎疾患・併存疾患などの状況は不明ですが、泌尿器科は尿路感染症、皮膚科は褥瘡の対策などの兼ね合いが考えられます。

なお、協力診療所の診療科目(複数回答)は、やはり「内科」が64.7%で突出して多くなっていますが、次いで「歯科、口腔外科」が36.3%で2番手です。この点は口腔ケアが以前にも増して重視されていることの表れと受け取れます。

全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における医療ニーズへの 対応力向上にかかる調査研究事業 報告書」

施設の管理医師 平均年齢68.6歳 オンコール体制「有り」73.9%

施設の主たる管理医師(施設長など)については、全体の平均年齢が68.6歳、施設での平均勤続年数は8.2年、平均臨床経験年数は37.2年でした。一般に老健の管理医師は、第一線を退いた元勤務医が多いと言われていますが、この実態もそれにおおむね一致すると言えるでしょう。

管理医師の雇用形態は、「常勤」が92.7%、「非常勤」が4.6%。施設類型別では特に差はみられませんが、設置形態別での常勤割合は「病院・診療所併設」が89.9%に対し、「独立型・その他」が94.7%とやや高めです。

全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における医療ニーズへの 対応力向上にかかる調査研究事業 報告書」

また、医師の体制に関して、オンコール体制「有り」が73.9%、「無し」が23.1%で、施設類型別では「在宅強化型」で「有り」が82.6%とやや高く、他の類型ではほぼ全体の割合と同じでした。また、設置形態別で「有り」は「病院・診療所併設」が67.8%に対し、「独立型・その他」が78.5%とやや高めです。

医師の当直の有無は「無し」が88.5%で、「有り」は9.6%。当直有無は施設類型別ではほとんど差がなく、 設置形態別では「病院・診療所併設」では「有り」が20.4%、対して「独立型・その他」は「有り」がわずか1.6%でした。

全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における医療ニーズへの 対応力向上にかかる調査研究事業 報告書」

全国老人保健施設協会「介護老人保健施設における医療ニーズへの 対応力向上にかかる調査研究事業 報告書」

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