公益財団法人介護労働安定センターが7月に公表した、令和5年度の介護労働実態調査の事業所調査結果から、介護事業所で働く労働者の確保や定着・雇用管理、人材育成、処遇改善、福利厚生の状況や事業運営上の課題について解説するシリーズの2回目。調査は令和5年10月に行われ、9,077の事業所(うち、入所型の施設系は1,192事業所)からの回答がありました。
介護職員の採用率・離職率
令和5年10月時点の介護職員の採用率は16.9%と前年度よりも0.6ポイント上昇、離職率は13.6%で前年度よりも1.3ポイント低下しました。厚生労働省の雇用動向調査によると、2022年の全産業の入職率は15.2%、離職率は15.0%となっていることから、全産業平均よりも採用率・離職率ともに良い状況になっていることが分かりました。
介護職員の性別の採用率と離職率は、男性の採用率が16.2%、離職率が13.5%、女性の採用率が15.3%、離職率が13.6%となっており、女性の離職率が男性をやや上回っています。
年齢層別では、29 歳以下が採用率、離職率のいずれも最も多くなっているほか、60 歳以上の離職率が採用率を上回っていました。
法人格別では「社会福祉法人」、「医療法人」の採用率、離職率はともに14%台、12%台でほぼ同水準でしたが、「民間企業」は 21.4%、16.0%と、採用率・離職率ともに上回っています。
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」
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