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【ニュース解説】2026年から始まる「介護情報基盤」とは?

今年度秋には紙の医療保険証発行が終了し、マイナンバーカードに統合されたマイナ保険証になることは周知のことですが、現在介護保険証(2024年4月末現在の保有者約3600万人)についても紙からマイナンバーカードへの統合が議論されています。

これは単にペーパーレスという意味を超えて、国や自治体、事業所に分散している介護レセプト情報、要介護認定情報、LIFE(科学的介護情報システム)情報、ケアプラン、主治医意見書などを統合した「介護情報基盤」の確立を目指す第1歩として検討されているものです。そして「介護情報基盤」は、内閣が6月に閣議決定した「骨太の方針2024」でも謳われた医療・介護DXの推進の最終ゴールとして確立される「全国医療情報プラットフォーム」の一部をなすものとして構築されるものです。今回は国が現時点でイメージしている「介護情報基盤」とはどのようなものかについて解説します。

要介護認定情報、LIFE情報、ケアプランなどが一元化

まず介護情報基盤で電子的に一元化が想定されている情報は、以下の通りです。

・要介護認定情報(認定調査票、主治医意見書、要介護度などを含む介護保険被保険者証、要介護認定申請書)

・LIFE情報(LIFE情報・利用者フィードバック票)

・ケアプラン(居宅or施設サービスの計画書・週間サービス計画表・サービス利用票)

・住宅改修費利用などの情報(介護保険住宅改修費利用情報、介護保険福祉用具購入費利用情報)

このうちLIFE情報と住宅改修費利用などの情報に関しては、利用者の同意を前提に介護情報基盤で共有されることになり、ケアプラン情報に関しては、現在共有されていない自治体が閲覧する場合は利用者の同意が必要となります。

厚生労働省「介護情報基盤について」 より

介護情報基盤のシステムは国民健康保険中央会で開発しますが、上記のデータすべてが1つのシステムに入るというわけではありません。ケアプランの場合はすでにケアプランデータ連携システムが存在しますが、これが新たな介護情報基盤システムに統合されるわけではなく、独立して存在して介護情報基盤システムに接続される形になります。また、LIFEデータに関しても今後新たに構築されるLIFEシステムが、介護情報基盤システムに接続されます。つまりケアプランやLIFEのデータに関しては、閲覧者が介護情報基盤にアクセスし、各システムから呼び出して閲覧することになります。

介護情報基盤を閲覧できる当事者に関しては、介護保険利用者、保険者である自治体、介護事業所、医療機関が想定されています。利用者はマイナポータル、介護事業所は今後新規開発予定の介護保険資格確認等WEBシステムなどを通じて閲覧します。ちなみに介護保険の認定業務で必要となる主治医意見書については、医師は介護情報基盤宛に送信し、自治体側も介護情報基盤を経由して受領することになる見込みです。

介護情報基盤の確立で、例えばケアマネジャーによる自治体への要介護認定結果の問い合わせや利用者の介護保険被保険者証や負担割合限度額証の確認、自治体による利用者への要介護認定審査結果通知の郵送、介護事業所による医療機関での入退院情報入手などが必要なくなる、あるいは省力化されることが期待できます。

2026年(令和8年)度に本格運用をスタートする予定

前述のように介護情報基盤は全国医療情報プラットフォームの一部をなすものとして構築を目指しており、大元の旗振り役は内閣府に設置された医療DX推進本部が担当しています。同本部が明らかにしている「医療DXの推進に関する工程表」では、本格運用のスタート目標を2026年(令和8年)度としています。

それまでの検討課題としては(1)利用者同意の取得方法(2)本人同意が取得困難(認知症など)な事例での対応方法(3)情報連携で求められる技術的課題の検討(4)情報セキュリティの具体策、などがあげられています。

厚生労働省「介護情報基盤について」

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