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【ニュース解説】介護施設経営者の約半数「業界の先行きは厳しい」背景には人材採用・定着が

2024年のトリプル改定が施行されて、はや3ヶ月が経過しました。今回の介護報酬改定率はプラス1.59%で、介護保険発足以降の同時改定としては事実上初めて介護報酬の改定率が診療報酬の改定率を上回りました。

この背景には「成長と分配の好循環」を掲げた岸田文雄首相が、とりわけ看護、介護、保育の職種に対する積極的な賃上げを政策として掲げていたという事情があります。つまり政治主導が色濃く表れた結果と言えます。しかし、ご存じのようにその岸田首相は、次期自民党総裁選への不出馬を表明し、首相交代が確実となりました。次期首相が岸田首相の方針を引き継ぐかどうかは不透明です。

さてそうした中で、M&A仲介事業を行う東証プライム上場の「M&Aキャピタルパートナーズ(本社・東京都)が先ごろ、介護施設の経営に携わっている経営者・役員・介護スタッフ104名を対象に6月に実施したインターネット調査「2024年『介護報酬改定』に関する意識調査」の結果を公表しました。調査結果によると、回答者の多くが人材確保に悩む現状が改めて浮き彫りになりました。今回はこの結果を解説します。

「介護業界の先行き 厳しい」46.2%

調査で「介護業界の先行きについて、どのように感じていますか。」と質問した結果では、最多は「厳しくなる」が46.2%、次いで「現状維持」が26%、「先行きは明るい」が24.9%、「全くわからない」が2.9%という結果でした。半数弱が将来不安を感じている一方で、半数強が端的に言えば「何とかなる」と思っていることになります。

これら回答理由を尋ねた自由記述では「先行きは明るい」との回答者では「少子高齢化で介護として働く人数が少ないため、政府が賃上げするほかないから」、「現状維持」の回答者では「需要は増えると思うが供給も増えると思う」「厳しくなる」の回答者では「職場環境が改善されないまま仕事が増える」「給与が安く人手不足」「少子高齢化による人手不足に加え、介護保険の改定による加算項目取得の厳しさ。介護の質の要求値が高くなっていること」などの理由が紹介されています。

経営課題「人材採用」「人材の定着」「介護報酬改定」

そのうえで「介護事業の経営において、現在課題に感じることを教えてください。(複数回答)」との設問では、筆頭は「人材採用」が61.5%、次いで「人材の定着」が58.7%、以下順に「介護報酬改定」が50.0%、「入居者の確保」が30.8%、「高齢者の増加によるサービス需要拡大への対応」が25%などとなり、相変わらずというかやはりというか人材確保が最大の経営課題であることが改めて示された形です。

また、「『介護人材不足』への対応を進めていますか。」との調査設問では、「すでに進めている」が23.0%、「一部進めている」が48.1%、「まだ進めていないが計画は立てている」が17.3%などとなりました。

7割強が対策を進めているということになりますが、この「すでに進めている」「一部進めている」との回答者に、「介護人材不足に対してどのようなアプローチをしていますか。(複数回答)」と尋ねた結果では、「IT・システムの導入」が43.2%、「外国人介護人材の受け入れ」が40.5%、「職員の処遇改善」が40.5%、「ユニットケアの導入」が39.2%、「資格取得支援や取得推奨制度の導入」が31.1%などでした。

アウトソーシングなどで経営コストの抑制を

つまるところ多くの介護経営者は人手確保そのものよりは効率化、待遇改善といったところに昨今重点を置いていることがわかります。もっとも筆頭にあがったIT・システムの導入については初期費用がかかることもあり、中小の事業者にとってはなかなか厳しい面もあります。この辺はよりコストの低いアウトソーシングやアナログな業務見直しのほうが現実的かもしれません。

M&Aキャピタルパートナーズ プレスリリース

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