
2月13日に答申された2026年度の診療報酬改定では、在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等)を担う医療機関の評価として、協力医療機関と介護施設が行う「カンファレンス(定期的な会議)」に関する施設基準が見直されることが確定しました。
具体的には、協力対象施設入所者入院加算と往診料の介護保険施設等連携往診加算の算定施設基準として、従来はICT(情報通信技術)を用いて日常的な情報共有ができる場合には年3回以上、ICTを用いた日常的な情報共有ができない場合は月1回以上と定めていたカンファレンスの開催頻度をそれぞれ年間1回以上、年間3回以上へと緩和しました。また、このカンファレンスに関しては入退院支援加算1のカンファランスを兼ねても差し支えないことも明記されました。
現行ではカンファレンスはビデオ通話可能な機器を用いた方式、すなわちオンラインでも可能ですが、これは改定後も現行通りとなります。
なお、関係者はご承知のように介護報酬の協力医療機関連携加算では、算定要件に入所者の同意を得て、協力医療機関と入所者の病歴などの情報を共有する会議を月1回以上開催していることが定められていますが、今回の改定でこの点が変更されるかどうかは現時点では不明です。
▶︎▶︎認知症ケアのお困りごとを精神科医がサポート!オンライン精神科医療養指導
▶︎▶︎「診療・処方箋発行」をオンラインで完結。皮膚科の診察を手軽に!
施設基準変更の背景は?
今回の基準緩和は、協力対象施設入所者入院加算、往診料の介護保険施設等連携往診加算とも思ったほど算定されていないことが最大の理由と指摘されています。
両加算ともに2024年の診療報酬・介護報酬の同時改定で新設されました。同時改定では、医療・介護連携を診療報酬と介護報酬の双方から促す措置が取られ、介護報酬改定では居住系サービスで「協力医療機関の確保」が努力義務化され、これに応じた診療報酬措置として両加算新設に至った経緯があります。
しかし、2025年12月に福祉医療機構(WAM)が公表した「2024年度(令和6年度)診療報酬改定の影響等に関するアンケート結果」(回答数:298法人・322病院)では、協力対象施設入所者入院加算を届出ているとの回答は25.3%、介護保険施設等連携往診加算に至っては11.7%にとどまりました。
アンケート結果では、協力対象施設入所者入院加算について「届出を行いたいが、満たすことが難しい施設基準がある」と回答した病院(全体の21.4%)に実際に満たすことが難しい施設基準について尋ねたところ(複数回答)、「介護保険施設等とのカンファレンスを定期的に実施すること」が49.1%と最も多い結果となりました。また、介護保険施設等連携往診加算でもやはり「届出を行いたいが、満たすことが難しい施設基準がある」と回答した病院(全体の17.9%)が満たすことが難しい施設基準として挙げたのは、最多は「24時間往診が可能な体制を確保すること」の71.7%でしたが、次いで「介護保険施設等とのカンファレンスを定期的に実施すること」が39.1%でした。
医療・介護とも提供側では、人材不足や業務負担の増加が深刻です。そうした中で頻回のカンファレンス開催は業務の負担増につながるだけでなく、両加算の算定の大きな障壁になっていたということです。
また、WAMのアンケート調査では、介護施設の協力医療機関になる予定がない病院が2割以上いるなど連携の状況のバラツキも明らかになっています。これらは制度化された連携要件を現場で実装することが容易ではないという課題を示しています。
ICT活用重視への転換
なお、前述のようにカンファレンス頻度はICTを活用した情報共有の有無で分けられています。これは 医療DXの推進という国の方針と一致しています。今回の2026年度診療報酬改定でも医療DX推進体制の整備が重要視され、看護業務の効率化や在宅医療での電子カルテ情報活用やオンライン診療などの評価が拡充されています。
このため介護施設と医療機関との連携でも今後より一層のICT活用を促す報酬改定は必至と見られます。ICT活用のメリットとして、たとえば▽入所者の病状変化や治療方針▽日常生活能力や認知機能▽急変時の連絡方法や対応方針、のような具体的な情報共有が可能になります。
今後はICT活用が前提となることを見据え、介護施側は通信環境や機器の整備、職員の習熟を推進する必要があります。同時にICTによって情報がリアルタイムで共有されれば、入所者の急変時にも連携がスムーズに行えるようになり、施設職員や家族にとっても安心につながることを念頭に置きましょう。
▶︎▶︎業務の効率化と夜間の負担軽減に「夜間オンコール代行」という選択肢を
▶︎▶︎【無料ダウンロード】財務諸表から読み解く 黒字の特養 赤字の特養
▶︎▶︎【無料ダウンロード】最低賃金上昇の波をどう乗り越えるか 〜介護施設が直面する課題への対策〜



