レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する介護業界に特化した人材支援サービス「きらケア」は、このほど全国の介護職員 18歳〜69歳の男女2145人を対象に行った職業実態調査と介護事業所勤務の採用担当者501人を対象に行った介護士の雇用実態を「きらケア介護白書2022」としてまとめ、公表しました。
採用方法「ハローワーク」が最多も 半数以上は定着率の低さに悩み
介護職員の過不足状況は、「不足している」が47.3%、「やや不足している」が36.7%で合計84%と、ほとんどの介護事業所で人手不足になっていることがわかりました。採用方法(複数回答)の最多は「ハローワーク」の 77.6% で、次いで「求人サイト 」が54.9%、「友人・知人からの紹介」が39.7%、「事業所の公式HP・採用サイト」が35.3%、「転職支援サービス (転職エージェント)」が 34.5%などでした。これを「東京/神奈川/埼玉/千葉/大阪エリア」という大都市圏に限定すると、同率1位で「ハローワーク」と「求人サイト」が65.9%、これに次いで「転職支援サービス (転職エージェント)」が 48.8%となります。転職支援サービスは最もコストを要する採用方式ですから、大都市部ほど介護職員の確保に苦労している様子がうかがえます。
介護職員の定着状況では、「定着率がとても低い」が14.0%、「定着率が低い」が38.3%で、定着率の低さに悩んでいる担当者が過半数超で、93.6% が定着率向上に向けて何らかの取り組みを実施していました。実施率が高い具体的な取り組みの内容としては、「給与や待遇の改善」が50.3%、「有給休暇の取得奨励」が48.1%、「時間外労働の削減」が47.9%などでした。
一方、現場の介護職員に聞いた現在の職場の満足度は、最多が「まあまあ満足している」の49.3%。次いで「あまり満足していない」が30.8%、「満足していない」が14.1%、「満足している」が5.8%。
満足度は半々に分かれるという結果です。また、勤続年数別では入職後 1 年未満の人では満足度が高く、勤続年数が1 年を超えると満足していない層が増えるという傾向が見られました。現在の職場に満足している人の理由は、「人間関係が良い」が 44.2%、「勤務地」が42.7%、「福利厚生が整っている」が23.4%などで、反対に満足していない人の理由は「給与水準が低いこと」が 59.7%、「人間関係の悪さ」が37.8%、「仕事の裁量度」が20.0%でした。
「効率的に採用する」のがいいのか、「離職を減らす」のがいいのか、まさに「卵が先か、ニワトリが先か」のようなテーマですが、コスト面や施設へのノウハウ蓄積を考えると「今いる職員を辞めさせない」ことの方が良いことは自明の理です。給与面以外にどんなところに不満や懸念を持っているのか、どうすればより働きやすくなるのかを丹念にヒアリングし、「辞めない職場」を作ることが重要でしょう。
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