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高齢者施設等における救急搬送等の実態(4)救急車の要請の判断が困難だった事例<daily news pickup 12月21日>

三重県が県内の特別養護老人ホーム等の入所型事業所に対して実施した、高齢者施設等における救急搬送等実態調査の2022年1月の集計結果を解説するシリーズ。最終回となる4回目は救急車の要請の判断が困難だった事例や今後の課題について紹介します。

救急車の要請の判断が困難だった事例

救急車の要請の判断が困難だった事例について、寄せられた回答をご紹介します。

・AEDにて処置の必要はないとのガイダンスが流れたが、すでに救急車の手配を済ませていた。主治医には事前に電話で状況を伝えてあり、心臓マッサージと人工呼吸をしながら救急車の到着を待ち、救急隊の指示を仰いだ。(特別養護老人ホーム)
・夜間、転倒による外傷や打撲等の状態把握は口頭では困難であるが、携帯にて傷の画像を送信してもらい、判断することもあった。認知症がある方は訴えが曖昧で判断が難しく、バイタルの変化(spo2)や、いつもにない腹痛や表情等で救急搬送を決定する。(特別養護老人ホーム)
・夜間帯に状態が急変し、救急車を要請するか、夜間対応の病院へ受診するか、朝まで待って病院受診するか、判断に迷う。(特別養護老人ホーム)
・迷ったら要請することとしてはいるものの、いつも迷ってしまい、上位者の判断を待ってしまう傾向があります。常に主治医と連絡が取れないこともあり、そのことが判断の遅れとならなかったのかが気になります。(軽費老人ホーム)
・肺気腫により SPO2 が低下し、胸苦を訴えた人が搬送先の病院へ着くと治まるケースが続けてあり、どのタイミングで救急車を呼ぶかわからないときがあった。(有料老人ホーム)
・ご本人様が救急車を呼んで欲しいと訴えがあるが、バイタル測定時異常がないが訴えが続く際、急な状態変化もないため職員としても判断が難しい時があります。(有料老人ホーム)
・夜間が特に困ることが多い。入居者様のバイタルサイン、状態を観察してご家族様に連絡し救急搬送する。医師にも後程連絡する。ご本人様の状態は職員が観察した情報を第一優先し「報連相」しています。(有料老人ホーム)

救急搬送の課題、行政への注文について

今後の課題や疑問、行政などへの注文などについて、一例をご紹介します。

・終末期の高齢者に関しては環境の激変を避け、施設で最期を迎えていただけるよう家族の方にも啓蒙を行っているが、それでも変化があったときの救急搬送にこだわる家族の方が一定数おられる。行政サイドからも「終末期高齢者の看取り」に関して広く啓蒙活動をしていただけるとよいかと思う。(特別養護老人ホーム)
・救急搬送時に職員が付きそうことは時間帯によっては難しい。情報提供をしっかりできれば家族で対応することも理解してもらいたい。(特別養護老人ホーム)
・特養の夜勤帯は看護師は不在でオンコールでの対応です。夜勤配置の職員も20:1で、配置基準ギリギリです。救急隊に同乗を求められることがあるわけですが、困惑してしまいます。(特別養護老人ホーム)
・安易に要請すべきでないことは理解しています。夜間等でかかりつけ医と連絡が取りにくかったり、入居者本人から「胸が痛く呼吸が出来ない」「動けない」等の要請がある場合、家族と相談の上、救急搬送をお願いすることがあります。ご迷惑をお掛けしている事は承知ですが、専門知識のある人員もなく、手遅れのリスクを回避せざるを得ない状況もあり、ご理解いただきたく。(経費老人ホーム)
・このコロナ過において、救急搬送の付き添いに関しては医療機関と同時に福祉施設にも負担を強いている現状がある。救急搬送時、同乗はせず、車で後を追うような対応、また病院先で利用者の情報に関しては待合室で何時間も待たすのではなく電話等での効率的な対応を求めたい。その分病院には必要な情報を迅速に提示できるよう施設側も整備は行っていきたい。(経費老人ホーム)
・利用者様が急な状態変化があった際に呼ばせていただいていますが、ご病気もあっての入居もしていただいている方がほとんどなのと、高齢ということも様子見ていての悪化が考えられる場合や、施設としても日頃との違いや状態変化を見つつ要請しています。(有料老人ホーム)

三重県「高齢者施設等における救急搬送等実態調査(令和4年1月)集計」

【関連トピックス】

高齢者施設等における救急搬送等の実態(1)救急車の要請実態

高齢者施設等における救急搬送等の実態(2)救急車への付き添い、看取り期の対応

高齢者施設等における救急搬送等の実態(3)緊急時の対応マニュアル

【関連資料】

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