歯科受診者は肺炎と脳卒中発作、尿路感染症による入院の発生割合低く
年齢を重ねると、肺炎や脳卒中などの全身疾患によって入院する危険性が高まります。歯の健康は全身疾患の発生に関連するという報告は多くありますが、その因果関係までについてはあまり検討されていませんでした。
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターは北海道に住む後期高齢者約 80 万人分のレセプト(診療情報明細書)情報を分析し、後期高齢者の歯科受診は肺炎や脳卒中発作、尿路感染症といった全身疾患による急性期の入院発生に対して予防効果があることを明らかにしました。
北海道に在住する後期高齢者で2016年9月から2017年2月の間に医療機関を受診した約75万人のうち、入院経験者や在宅医療利用者、要介護認定者などを除いた432,292 名分のレセプトデータを分析。歯科受診がなかった者に比べて、歯科受診があった者では、肺炎と脳卒中発作、尿路感染症による入院の発生割合が低かったことが示されました。また、歯科受診がなかった場合に比べると歯科受診があった場合に、急性期の入院発生は、肺炎で15%、脳卒中発作で5%、尿路感染症で13%の抑制効果が認められました。
同センターでは、今後、要介護高齢者においても同様に効果が得られるのか、更には、どのような診療行為(検査、処置、治療等)が急性期疾患の発症抑制と関係しているのか、検討を続けるとしています。
東京都健康長寿医療センター プレスリリース より
【関連トピックス】
介護現場における「医行為」とは マニュアルの再点検や介護職員に対する教育・研修を
【関連資料】