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認知症の治療薬を学ぶ (4)認知症の薬物療法の治療費用 ~シリーズ 認知症を学ぶ

昨今では物価高なども影響して、慢性の病気の治療でどの程度の医療費がかかるかは多くの患者・家族が気になるところかと思います。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の場合、ジェネリック医薬品ではない新薬の最大投与量を使う前提では1か月で約4000~6000円、これをジェネリック医薬品にした場合は約1800~2700円。実際には高齢者は年齢に応じて1~3割負担に分かれるため、これをまとめて考慮すると実際の患者自己負担額は約180~1800円となります。

NMDA受容体阻害薬では新薬の最大投与量を使う場合は1か月で約4600円、ジェネリック医薬品ならば約1400~2400円。1~3割負担を考慮すると、自己負担額は約140~1400円の範囲となります。

ちなみに2024年10月からジェネリック医薬品のある新薬は、医学的理由ではなく患者の希望で処方された場合、新薬とジェネリック医薬品の価格差の4分の1が患者自己負担額に上乗せされます。このため、これに該当する場合は薬価×自身の自己負担割合よりも最終的な自己負担額は高くなります。

一方、抗アミロイドβ抗体は結論から言うと超高額です。これは抗体医薬品の製造は極めて手間がかかるため、原価が元々高いからです。

レカネマブは体重によって投与量が変わりますが、レカネマブとドナネマブとも大雑把にいえば、年間の薬剤費は約300万円です。1~3割負担で計算すれば約30~90万円となりますが、日本では昨今話題になった高額療養費制度による自己負担額上限が設定されているため、実際の自己負担額はこれよりも安くなります。

高額療養費制度は年齢と年収により自己負担額の上限が異なり、年齢区分は70歳以上と69歳以下に分かれます。抗アミロイドβ抗体の投与対象はおおむね70歳以上と考えられるので、この区分で年収別の月間自己負担額上限を示すと、住民税非課税の人が8,000円、年収156万円以上~370万円未満の人は1万8,000円(ただし年間では14万4,000円)、年収370万円以上~770万円未満の人は約5万6,000円、年収770万円以上~1,160万円未満の人は約8万円、年収1,160万円以上の人は10万円前後です。

高額療養費制度でかなり抑えられるとは言え、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体阻害薬とは比較にならない高額です。

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