公益財団法人介護労働安定センターが7月に公表した、令和5年度の介護労働実態調査の事業所調査結果から、事業所調査の結果について解説するシリーズの4回目。令和5年度介護労働実態調査調査は令和5年10月に行われ、9,077の事業所(うち、入所型の施設系は1,192事業所)からの回答がありました。
従業員の過不足状況、職員不足が及ぼす影響
従業員の過不足状況について、事業所全体では「大いに不足」 12.1%、「不足」21.9%、「やや不足」30.7%で、合計すると64.7%が不足感を、抱いている結果になりました。職種別では訪問介護員の不足感が強く、「大いに不足」の回答割合が最も多いなど、訪問介護員の人材不足状況が極めて深刻なものであることが窺えます。それに続くのは介護職員で、65.9%が不足していると回答しました。一方、看護職員については、59.1%が「適当」と回答、経年で見ても、2019~2022年は「不足している」と回答した事業所はいずれも45%前後だったのが、今回の調査では38.7%と不足感がやや解消されていることが分かりました。
介護職員が不足していることによる影響について、「各職員の時間当たりの業務負担の重さ・余裕のなさ」が最も多い結果となりました。民間企業や従業者数が少ない事業所、訪問系では利用者の受け入れ抑制に、社会福祉法人や従業員数が多い事業所、施設系(入所型)や居住系では職員への負担等となっていることが示唆されます。
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」
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