厚労省老健局は令和6年12月23日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会において、「改定検証調査(4)における自治体調査(アンケート)の集計状況」について速報レポートを提出しました。この調査は自治体に対し、介護事業所数の変化などを聞き、集計したもので令和6年6月~8月の事業所数の変化が報告されています。
休廃止の多い訪問介護・訪問看護だが事業者総数としては増加
令和6年6月~8月の3か月間の介護事業所数の変化について、回答のあった自治体の合計数値をみたところ、訪問介護では休止数・廃止数合わせて563あったものの、再開数・新規開設数も合わせて583あり、事業所数としては20施設の増加となりました。同じく訪問看護では休止数・廃止数合わせて414、再開数・新規開設数合わせて844あり、事業者数としては430施設の増加となりました。介護老人福祉施設については休止数・廃止数合わせて4、再開数・新規開設数合わせて16で差し引き12施設の増加となりました。
中山間・離島等でのサービス提供が課題に
そうしたなか、中山間・離島等でのサービス提供について課題を感じている自治体は多く、「介護人材が不足している」「訪問介護事業所数が十分でない」などの意見が多く見られています。
具体的な意見としては、
・利用者宅まで遠いため、1件にかかる時間及びコストがかかる。
・中山間部等の利用者に対し、通所系サービスの送迎が困難であるため、十分に提供できない場合がある。
・離島のため、悪天候などで渡船が欠航となった場合、訪問介護職員等が島に渡ることができず、サービスが提供できない。
・事業所が少ないこと、また人材が潤沢ではないことから、当町のまだ奥地の山間部へ訪問介護のサービス提供が不足傾向にあり、安定的なサービス提供の継続に不安。移動時間を評価した加算を再検討してほしい。
などが挙がりました。
事業者数が増加している訪問系・通所系で職員数が減少
また、同省の社会・援護局は、12月25日に公表した「介護職員数の推移の更新(令和5年分)」において、令和5年10月1日時点の介護職員数が約212.6万人で対前年2.9万人(1.3%)の減少となったことを公表しました。サービス種別ごとに見ると、訪問系は53.8万人で対前年1.6%の減少、通所系は34.4万人で対前年2.3%の減少、入所系は102.6万人で対前年1.0%の減少となっています。
なお、要介護(支援)認定者数については705万人で対前年比1.1%の増加となっています。
厚生労働省 「改定検証調査(4)における自治体調査(アンケート)の集計状況について(報告)」
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