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認知症の治療薬を学ぶ  (2)NMDA受容体拮抗薬 ~シリーズ 認知症を学ぶ

現在使われている認知症の治療薬を解説する4回シリーズの2回目。

2011年に発売されたのメマンチン(主な商品名:メマリー)はNMDA受容体拮抗薬と呼ばれるタイプの治療薬です。

アルツハイマー型認知症では神経細胞が障害されることにより、神経伝達物質であるグルタミン酸が異常に放出されるようになります。神経伝達物質としてのグルタミン酸は興奮性伝達という機能があります。

この異常放出されたグルタミン酸は、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA受容体)という部分に結合して活性化しますが、この受容体が過剰刺激されると、カルシウムが神経細胞内に過剰に流入し、神経細胞を死滅させてしまします。神経細胞が死滅すれば当然ながら認知機能は低下します。メマンチンは、このNMDA受容体に結合して神経細胞への過剰なカルシウム流入を抑制することで神経細胞を保護し、認知機能の悪化を緩やかにします。

承認されている適応は、中等度あるいは高度のアルツハイマー型認知症です。新薬としてのメマンチンも特許期間が終了しているため、ジェネリック医薬品があります。現在、剤形としては主に錠剤とOD錠の2種類ですが、ジェネリック医薬品の中では一部ドライシロップ製剤があります。

投与量は1日1回5mgから開始し、1週間ごとに5mgずつ増量したうえで、1日1回20mgを維持量とします。主な副作用としては、めまい・ふらつき、食欲不振、便秘、血圧上昇などです。高齢者の場合、めまいやふらつきは骨折や交通事故など重大な結果を招く可能性があるため、服用中には十分な注意が必要です。

また、重大な副作用としては1%未満のまれな頻度でけいれんが報告されており、同じように1%未満ながら精神症状として激越(感情が激しく高ぶった状態)、攻撃性なども報告されています。

メマンチンは、前述のようにアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは作用の仕方が異なるので、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用は可能です。ただ、メマンチンが中等度、高度のアルツハイマー型認知症が適応となっているため、重症度に関係ない適応があるドネペジルと併用されることが一般的です。

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