
公益社団法人日本介護福祉士会は介護職員や相談員など介護現場で働く158名に介護現場におけるハラスメントの実態と対応策についてのオンラインアンケートを実施。その結果を公表しています。

「叩かれる」「つねられる」などの身体的攻撃によるハラスメント 53%「受けたことがある」
介護現場で利用者や家族等から身体的な攻撃を受けたことがあるか、について53%が「受けたことがある」と回答。誰から受けたか、については全員が「利用者から」と回答したほか、「利用者の家族から」も4.8%回答がありました。身体的な攻撃の具体的な内容については、「叩かれた」が86.7%と最も多く、次いで「つねられた」 「噛まれた」と続きました。その他の身体的攻撃ハラスメントとして、「メガネを壊された」「首から身分証明書を下げているが、認知症の利用者様がいきなり身分証明書をひっぱり、首を絞められる状況があった」「杖で殴られた。握りこぶしで殴られた」などが挙がりました。



利用者本人だけでなく家族からも 精神的攻撃によるハラスメント 60%「受けたことがある」
介護現場で利用者や家族等から精神的な攻撃を受けたことがあるか、について60%が「受けたことがある」と回答。男女比では女性がやや多い結果となりました。誰から受けたか、については「利用者」が73.1%、「利用者の家族」が63.4%となりました。精神的な攻撃の具体的な内容については「攻撃的な態度で大声を出された」が72.0%で最も多く、「制度上認められていない過剰なサービスを要求された」が53.8%で続きました。



被害者の約8割が女性 セクシャルハラスメント 34%「受けたことがある」
介護現場で利用者や家族等かセクシャルハラスメントを受けたことがあるか、について34%が「受けたことがある」と回答。男女比では女性が約76%と多い結果となりました。誰から受けたか、については「利用者」が98.1%、「利用者の家族」が13.0%となりました。セクシャルハラスメントの具体的な内容については「手や肩に触れる、抱きつつむなど必要のない身体への接触があった」 が75.9%で最も多く、「性的な冗談やからかいを含んだ発言をされた」が66.7%で続きました。



セクハラ受けた現場職員 約半数が「誰にも相談できていない」
ハラスメントを受けて誰かに相談したかどうか、について以下の通りとなりました。
身体的攻撃 相談した:63.4% 相談していない:36.6%
精神的攻撃 相談した:77.9% 相談していない:22.1%
セクシャルハラスメント 相談した:54.7% 相談していない:45.3%
また、相談した相手については「職場の上司」「職場の同僚」がほとんどで、職場や地域でのハラスメント相談窓口などが活用されていない実態が分かりました。



相談の結果 希望する対応をしてもらないケース多く
ハラスメントを受けて、相手にして欲しかった対応があったか、について以下の通りとなりました。
身体的攻撃 あった:22.6% なかった:77.4%
精神的攻撃 あった:22.5% なかった:77.5%
セクシャルハラスメント あった:25.0% なかった:75.0%
「して欲しかった具体的な対応」の一例として以下のようなコメントがありました。
身体的攻撃
・ 話を聴くだけでなく現場を観にきてほしい
・ 暴力は容認しない説明をしてほしかった
・ 認知症だから仕方ないよね…の一言で片づけてほしくない。もっと問題点は何なのか?を聞き取りをしてほしかったし、利用者様がどうして暴力的な行為をするのか?もっと職員間で話し合うべきであると思った。
・ 怪我をしたり、衣類を破られたりしているので、具体的な対応を検討してほしかった
精神的攻撃
・ ハラスメントが違法な行為という事をしっかりと第三者から伝えて欲しい
・ 自身が対応できる範疇を越えていたので、第三者機関等に相談窓口を変更して欲しかったができなかった
・ 大声をあげているときにすぐに駆け付けて間に入ってほしかった。
セクシャルハラスメント
・ 地域の地域包括支援センターへ働きかけ、性別による偏見や言動をなくすよう取り組んでほしい。
・ 利用者が男性だったので、セクハラを避けるために男性職員が介助するように工夫する等の配慮をしてほしかった。
・ 話を聞いて終わるのではなく内容に合った適切な対応。
公益社団法人日本介護福祉士会 「介護現場におけるハラスメントの実態と対応策に関する調査」