利用者やその家族など多様な関係者と接する中で、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメントなど、さまざまなハラスメントを受けるリスクが高い職業である介護士。そうした中で近年、問題視されているハラスメントが上司や同僚からの「職場におけるハラスメント」です。株式会社SOKKINが2024年9月に介護士の職場におけるハラスメントについて調査を実施しました。
「上司」から 内容は「精神的攻撃」が多く
ハラスメントを受けた、もしくは見た経験としては、「自分がハラスメントを受けた」が53%、「他の人がハラスメントを受けているのを見た」が34%となり、87%の介護士が職場でハラスメントを経験しているという事がわかりました。ハラスメントの内容については、「精神的攻撃」が最も多く、次いで「過大な要求」という結果になりました。ハラスメントの加害者については、「上司」が最も多く、次いで「先輩」となりました。また「利用者」も多く見られました。
具体的なハラスメントの内容として以下のような回答がありました。
・人員不足について、現場の負担の問題でもあるが同時に不正請求の問題にもなるため抗議したところ、「おまえなんかいつでも首にできる」と脅された。(30代女性)
・同僚が上司から度々お前は動きがトロいし要領が悪いし価値がないなと言葉でのハラスメントを行っていた。(40代男性)
・妊娠中悪阻が酷かった時に「他の人(職員)に迷惑だ」と言われた。他理不尽に日常的に怒鳴られた。(30代女性)
・一人で対応できない仕事を押しつけて容量が悪いと罵声を浴びせている姿を見た。(20代男性)
・同僚の男性ヘルパーの方が先輩から体が大きいという理由だけで肉体系の仕事ばかり押し付けられている姿を見た。(30代男性)
・上司から頻繁に非現実的な業務目標を課されていた。その目標は、通常の労働時間内では到底達成できないもので、残業や休日出勤が必要になるレベルだった。さらに、上司はそのような負担を「やりがい」や「自己成長の機会」として強調し、断ることができないプレッシャーをかけていた。この社員は、疲弊し、体調を崩すまで働き続けることになったが、最終的に上司に相談しても改善されることはなく、結果的に退職した。(20代男性)
・利用者さんや男性スタッフさんに頻繁に「トイレ担当して欲しい。」「結婚はまだ?」などと言われた。(20代女性)
・同僚が男性利用者にお尻や肩を触られていた。(30代女性)
・利用者に日常的に殴られる事は当たり前。意思の疎通は困難なので。おむつ交換時に殴られたり、何も理由がなくても叩かれる。(40代女性)
・グループLINEでの名指しの叱責(50代女性)
・理由は不明だが、ベテランのパートさん(女性)から嫌われてしまい、業務中に必要な声かけも無視をされるようになった。日常的に「あんなのクビ切れば良いじゃない」と私や利用者様のいる空間でリーダーへ話される。
約半数がハラスメントがあっても報告せず
ハラスメントに関して、職場に報告して適切な措置を取ったか?について、「報告をしなかった」が53%で最多という結果になりました。次いで「報告したが、適切な措置は取られなかった」が28%となりました。
「報告して適切な措置が取られた」ケースでは
・すぐに聞き取り調査があり、直接謝罪を受けた。(40代男性)
・管理者からケアマネに報告、2人で加害利用者へ次にセクハラ行為があったら利用中止にすると警告した。(40代男性)
となった一方、
「報告したが、措置は取られなかった」ケースでは、
・被害に遭っていた同僚と一緒に施設長に直接ハラスメント被害に遭っている事を報告した。しかし施設長は加害者である上司を解雇させたり停職させると施設運営に悪影響が出るからと被害者である同僚に対し我慢するか辞めて転職するかして下さいという信じられない対応をしてきた。結局ハラスメント被害に遭っていた同僚は自ら辞めてしまった。(40代男性)
「報告をしなかった」ケースでは
・その場所にいた人数も少なく特定されるのが怖かったから。(30代男性)
・ハラスメントの受け入れ口である所属長からのハラスメントのため報告できる相手がいない。(50代女性)
とした回答がありました。
職場でのハラスメント予防に関する取り組みについて、「行っているが不十分」が最多の44%、次いで「行っていない」という回答が38%という結果になりました。
ハラスメントが原因で、介護士が精神的なストレスを受けたり、身体的健康が損なわれたりするだけでなく、またそれに伴う離職率の増加にもつながります。より一層のハラスメント対策が求められます。
株式会社SOKKIN プレスリリース
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