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【ニュース解説】団塊世代の「後期高齢者」入り目前 「介護保険事業状況報告」令和4年度版年報を公表

介護保険事業の実態状況について、保険者である市町村からの報告数値を全国集計した「介護保険事業状況報告」の令和4年度版年報がこのほど公開されました。一昨年度のデータとはいえ、進行する少子高齢化とそれに伴う介護保険の状況について得られる最新データとなります。

まず、介護保険サービスを受けることができる65歳以上の第1号被保険者のいる世帯数は、令和4年度末(令和5年3月末)時点で2,543万世帯、対前年度末比で4万世帯、0.2%増となりました。実際の第1号被保険者数は、令和4年度末現在で3,585万人。このうち前期高齢者(65歳以上75歳未満)は1,636万人、後期高齢者(75歳以上)は1,949万人でした。前年度末に比べ、前期高齢者が4.6%減少だったのに対し、後期高齢者は4.0% 増加しました。全体では前年度比で0.1%減少しました。

令和4年度末の要介護(要支援)認定者数は694万人。うち、第1号被保険者は681万人(男性213万人、女性468万人)、第2号被保険者が13万人(男性7万人、女性6万人)で、前年度末比でそれぞれ0.7%、0.2%ともに増加。要介護認定者の98%が65歳以上の高齢者となります。

また、第1号被保険者での要介護(要支援)認定者の年齢階級別は、65歳以上70歳未満が20万人、70歳以上75歳未満が51万人、75歳以上80歳未満が84万人、80歳以上85歳未満は144万人、85歳以上90歳未満が186万人、90歳以上が196万人で、要介護(要支援)認定者の4分の3が80歳以上でした。

要介護(要支援)認定者の要介護(要支援)状態区分別では、要支援1が98万人、要支援2が96万人、要介護1が145万人、要介護2が116万人、要介護3が92万人、要介護4が89万人、要介護5が59万人となっており、軽度(要支援1~要介護2)認定者が65.5%を占めていました

第1号被保険者に占める要介護(要支援)認定者の割合は、全国平均が19.0%。都道府県別でこの割合が最も高いのは大阪府の23.1%。次いで京都府の22.2%、和歌山県の21.9%です。逆に最低は茨城県の15.8%、これに次ぐのが栃木県の16.0%、山梨県の16.1%などです。概観すると、認定者割合は西高東低となっています。

介護サービス別の受給者の推移は

さて現実のサービス受給者はどのような状況でしょうか?

今回の報告によると、居宅介護(介護予防)サービス受給者累計総数(令和4年3月から令和5年2月サービス分)は4,959万人(延人月)、うち第1号被保険者は4,853万人、第2号被保険者は106万人でした。

居宅介護(介護予防)サービス受給者の要介護(要支援)状態区分別では、要支援1が405万人、要支援2が602万人、要介護1が1,317万人、要介護2が1,118万人、要介護3が696万人、要介護4が515万人、要介護5が306万人。全体に占める各区分割合は要介護1が26.6%で最多となっており、要介護2までの軽度受給者が69.4%。1ヶ月あたり平均受給者総数は413万人で、前年度に比べ9万人、2.2%増でした。

地域密着型(介護予防)サービス受給者累計総数は1,081万人、うち第1号被保険者数は1,068万人、第2号被保険者数は13万人。要介護(要支援)状態区分別は、要支援1が6万人、要支援2が9万人、要介護1が320万人、要介護2が274万人、要介護3が214万人、要介護4が157万人、要介護5が100万人。ここでもやはり要介護1の受給者数が29.6%で最多、要介護2までの軽度受給者が56.4%を占めていました。

一方、施設介護サービス受給者累計総数は1,146万人。要介護状態区分別は、要介護1が58万人、要介護2が98万人、要介護3が282万人、要介護4が413万人、要介護5が294万人。要介護4の受給者数が36.1%と最多で、重度(要介護4~要介護5)受給者が全体の61.7%。

施設サービス別の受給者累計総数は、介護老人福祉施設が677万5000人、介護老人保健施設が412万1000人、介護療養型医療施設が 9万2000人、介護医療院が50万1000人。各施設別の要介護区分は、表のとおりです。要介護3以上が原則の介護老人福祉施設では、特例入所となる要介護1~2が全体の3.7%いることがわかります。

1ヶ月あたりの平均受給者総数は、介護老人福祉施設が56万人、介護老人保健施設が34万人、介護療養型医療施設が0.8万人、介護医療院が4.2万人で総数は95万人。前年度比では介護老人福祉施設が0.2%増、介護老人保健施設が1.3%減、介護療養型医療施設が40.8%減、介護医療院が12.5%増でした。

介護療養型医療施設の大幅減と介護医療院の二桁増は、ご存じのように介護療養型医療施設が2024年3月末までに廃止されることをうけて、介護療養型医療施設の介護医療院への転換がより進展した結果といえます。

さて概観すると、少子高齢化が進展していると言われるわりには、第1号被保険者や要介護認定者、各サービスの利用者は微増程度となっています。もっともこれは人口比で多い団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となる2025年の“前夜”とも言える時期のデータです。もちろん2025年になったからといって、すぐに要介護認定者や各種サービス受給者累計総数が激増するとは思えず、そこから5年後くらいの2030年前後に増加が著しくなると見込まれます。その意味で今は「嵐の前の静けさ」と表現できるかもしれません。

厚生労働省「介護保険事業状況報告」

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