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「副業」「兼業」「ワークシェアリング」…多様な働き方が介護業界にも

マッチング

最近は「副業」「兼業」といった働き方に関する話題を目にすることが増えています。この動きは既に大手企業にも波及しており、三菱地所、みずほファイナンシャルグループといった、これまではお堅い企業として知られてきた企業でも一定の制限をつけながらこうした働き方を解禁しています。

この流れを受けて最近ではIT系企業が隙間時間を利用したアルバイトを紹介するアプリをリリースするといったムーブメントも登場しており、じわじわと介護業界にも押し寄せつつあります。今回はワークシェアリング誕生の背景や副業、兼業の現状を整理してご紹介したいと思います。

介護領域特化型ワークシェアリングサービスが登場

昨年、有線放送老舗のUSEN-NEXT ホールディングスが首都圏1都3県で介護領域特化型ワークシェアリングサービス「Ucare」をスタートさせました。これは介護有資格者や看護師・准看護士を含む介護職務経験者と、短期就業者を探す介護事業者をアプリでつなぐサービスです。仕組みはいたってシンプルで、急病やその他諸事情で職員が急に休む場合やサービス利用者が多い時期などに、施設がアプリ上で短期スタッフを募集し、登録者が適宜応募し、両者のマッチングが成功すれば、応募者が各介護事業所で短期的に働くというものです。このシステムは短期的人手不足を解消する手段として登場したものですが、利用の仕方によっては人材採用にもつなげることができます。なぜなら、互いに短期間接触することで、事業者側は応募者の仕事の力量、応募者は施設の雰囲気などを探ることができ、最終的に双方のミスマッチが少なくなるからです。

まだ発展途上のビジネスモデルですが、今後、団塊世代の後期高齢者入りによる利用者の急増や、都市部の人手不足の深刻化も考えると、同様の事業が数年以内に競争が激化する可能性もあります。各介護事業所も注目すべき動きととらえてよいでしょう。

「副業」「複業」「兼業」どう違う?

さてここで副業についてここで改めて整理しておきたいと思います。まずこれに関連する用語には「副業」「複業」「兼業」などがあり、その違いがよくわからないという人もいるかもしれません。いずれも複数の仕事をしているという点では同じですが、その定義は微妙に異なります。

まず、最も使用頻度が多い「副業」は、働く人がメインの収入を得る本業があり、それと比較して収入、労働時間、労力が少ない仕事、もっと突っ込んでいえば担当業務に大きな責任が伴わない業務を指します。

これに対して「複業」は本業ともいえる仕事を複数持っている状態を指します。収入、業務時間、労力、責任範囲が同程度の複数の仕事に従事している状態です。

「兼業」は本業以外に自ら事業を経営していることを指します。複業との違いはメイン収入を得る企業・組織に勤務しながら、自分で会社を経営しているなどの状態です。よくありがちなのが、実家が複数の不動産を有しているため、それを管理する会社を持っていて、それを継承して経営している場合などです。

制度面でも多様な働き方を後押し 先んじるには今がチャンスの可能性も

さて、この副業トレンドは行政の動きにも波及しています。従来から常時10人以上の従業員が働く事業所の経営者は労働基準法第89条に基づき規定就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出けることが義務付けられています。これに基づき厚生労働省は、就業規則作成の参考にする「モデル就業規則」を公開しています。従来のモデル就業規則では副業禁止規定がありましたが、2018年1月に削除され、代わりに「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表されました。これは副業・兼業希望者が年々増加傾向にある中で、副業・兼業の場合の労働時間管理や健康管理などを示したものです。

人手不足に悩む介護業界でも、現状打破のため、「副業」「兼業」について真剣に検討すべき時期に来ているように思います。もっとも有資格者を雇用することがおおむね原則になるでしょうから、競合事業所との「兼業」されることでの機密情報の漏洩が最大の問題になるでしょう。まだ副業・兼業者受け入れを検討していなくとも、今後に備えて自分の事業所では何が機密情報に当たるかを再確認しても良いかもしれません。

このように「多様な働き方」が介護業界にも広がる一方で、「多様な採用方法」や業務のアウトソースなど「多様な人材活用・業務分散」のあり方はまだ広がりを見せていないといえます。働き手と雇い手の想いがミスマッチな現状で、いち早く多様な採用方法や業務のアウトソースなどの、新しい取り組みにチャレンジすることで、慢性化しつつある人材不足から抜け出す可能性を見いだせるのかもしれません。

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