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不適切な換気はかえって感染を拡大? 電気通信大学が再現実験結果を公表<daily news pickup 2月13日>

国立大学法人 電気通信大学の石垣陽特任准教授(情報学専攻)、横川慎二教授(i-パワードエネルギー・システム研究センター)らの研究グループは、宮城県結核予防会、産業医科大学産業医実務研修センターおよび東京工業大学の研究グループと連携して、COVID-19の集団感染(クラスター)が発生した60ヶ所以上の医療福祉機関・事業所において、再発防止の観点から立ち入り調査を実施、調査結果から、従来からエアロゾル感染の要因として指摘されてきた「換気の悪い密閉空間」に加えて、「不適切な換気」によって、逆にエアロゾル感染が拡大し、クラスターの発生要因となる可能性があると考えられ、送風機・扇風機の設置方法を見直すことや、施設内での気流の確認と管理を行うことでエアロゾル感染のリスクを低減させる提言を、国際的な医学系ジャーナルならびに自然科学系ジャーナルに論文として発表しました。

高齢者施設での換気扇の気流に乗った風下汚染

施設の利用者(入所者、日帰り利用者を含む)36名、施設職員23名の合計59人の感染者が報告された高齢者施設において、研究チームがクラスター収束後にCO2センサーネットワークによる換気と気流の調査を実施。その結果、発端となったと考えられる初期感染者が入居していた個室から、廊下を介して空間的に繋がっているデイルームに向けて緩やかな気流が発生していることがわかりました。この気流はデイルームに設置された大型の換気扇による強い吸引力によるもので、陽性者が居た個室にある換気扇よりも吸引能力が高いため、デイルームと個室で圧力の差が生まれ、結果として感染性のエアロゾルが個室から漏洩し、1分程度でデイルームに到達する可能性があることがわかりました。

デイルームは入居者だけでなく日帰りで施設を訪れる人が自由に利用できる憩いの場であり、被介護者や職員など複数の人が頻繁に利用するため、感染リスクは比較的高かったものと予想されます。この施設ではデイルームの利用者を中心に最初の感染が広がったことから、研究チームでは不適切な換気による吸引・漏洩が初期感染に繋がったものと結論づけています。

一般に高齢者施設では、生活の質の向上や入居者の見守りのために開放的な建築空間の設計が推奨されています。しかしこのように相互に接続された空間設計においては、圧力差に配慮した換気設計も同時に求められることが今回の調査で判明しました。研究チームではデイルーム近辺の個室の使用を控えると共に、デイルームが陰圧となってしまう機械換気を見直すため、窓開けによる自然換気を併用することを提案し、この実地調査の後に新規感染者は発生していません。

国立大学法人 電気通信大学「【ニュースリリース】不適切な換気によるエアロゾル感染拡大に警鐘」

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