全国老人福祉施設協議会ほか介護関係9団体が、2024年8月23日~9月6日にかけて実施した、「介護現場における物価高騰・賃上げ等の状況調査」の結果を公表しました。
一本化された処遇改善加算 約75%が加算(i)を取得
令和6年度報酬改定で一本化された処遇改善加算について、全体では73.6%が加算(i)を取得。以下、加算(ii)が15.2%、加算(iii)が5.8%、加算(Ⅳ)が1.2%、加算(V)が2.7%という結果となりました。
老健・特養・介護医療院・グループホーム・ 特定施設(サ高住等・有料) 等の居住施設系サービスに絞ると、75.5%が加算(i)を取得。以下、加算(ii)が14.4%、加算(iii)が5.0%、加算(Ⅳ)が1.2%、加算(V)が2.7%となりました。
賃上げの金額ベースでは、令和5年度の4600円から令和6年度は6098円、率にして33%の上昇となりましたが、賞与については令和5年度と同じ結果となりました。
水道光熱費・給食費は高止まりのまま
電気代・ガス代・水道代の水道光熱費や、給食用材料費・給食委託費については、微減となった電気代以外はいずれも令和5年度と比較してやや微増。ウクライナ侵攻に伴う世界的な燃料費の高騰となった令和4年以降、高止まりの状況が続いています。
この結果に対し、全国老施協・田中副会長は、
令和6年度の介護報酬改定はプラス1.59%だったが、物価と賃金上昇に追いつかず、10月からは最低賃金も上がり介護事業者の経営が厳しい状況に追い込まれていること、特に全産業平均の賃上げ率が高水準で、介護分野の職員との賃金格差が昨年より拡大していることから、このままでは他産業への人材流出が止まらないとして、短いスパンでの報酬改定や賃金・物価スライド制の導入が是非とも必要、
と訴えています。
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会ほか 令和6年夏:物価高騰・賃上げ状況調査報告
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