
東京都社会福祉協議会と東京都高齢者福祉施設協議会の制度検討委員会は2024年12月に「東京都内特別養護老人ホーム入所(居)待機者に関する実態調査」の調査結果を公表しました。調査は東京都高齢者福祉施設協議会会員の特別養護老人ホーム519施設に対して令和5年7月1日~7月31日にかけてインターネット調査で行われました。
東京都内の特養 運営状況
東京都内の特養の稼働・空床率について、都内全体で年間73 万床の空床が発生、1 施設の1ヶ月平均空床数では多摩東部が221 床と最も多く、次いで 23区が 185床の結果となりました。その結果、全体の稼働率は93.3%と前年より上昇したものの、依然厳しい状況にあるといえます。


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空床の主な理由が「入所(居)に至るまでの期間延びた」理由として、78.0%の回答施設が「家族(代理人)との調整に時間がかかる」と回答。また、約半数となる58.9%の回答施設が「入所(居)元による入所調整が増えた」と回答しており、入所(居)調整に必要以上の時間を要することが明らかとなりました。
また、空床の原因として「施設の体制や職員配置等が理由で受け入れられない」と回答した施設にその理由を聞いたところ、約8割の施設が「募集をかけても人が来ず、新規採用が出来なかった」と回答しました。
加えて、空床の原因として「入所(居)待機者の減少」を挙げた施設にその理由の詳細を尋ねたところ、「所在地や近隣地域での特養ホームの増加」と回答している施設が 67.3%と最も多く、次いで「所在地や近隣地域での有料老人ホームの増加」が50.6%となり、全体的に新規施設の伸展により待機者が減少している結果となりました。



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特養の待機者減少・稼働率低迷について同委員会では、自治体からの送付頻度が改善されるなど、都内全体で早期に入所(居)が可能となっていることを背景に、「まだ大丈夫」等のお守り的申込者が減少していることが背景にあると考察しています。
入所(居)待機者の状況
令和6年3月31日時点での東京都内の要介護度3以上の待機者数について、東京都全体では43,496名。地域別では23区が20,408名、多摩東部が17,357名となりました。

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入所(居)に至らない理由については、「医療依存度が高い方」が 92.3%と最も多い結果となりました。入所(居)申込者の傾向の変化について、「増加」、「やや増加」を合わせると「医療ニーズが高い方」は85.8%、「低所得者の方」は55.8%、 「身寄りや身元引受人が不在の方」は70%の結果となりました。


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同委員会ではこれらの調査結果、待機者減少の実態について、「今なお入所(居)できない施設として根強い声が聞かれるも、実態は短期間で入所 (居)が可能な施設へと変化している結果が明らかとなった。さらに、待機者の中には「医療依存度の高い方」等の申込が含まれており、生活をベースにした特養では対応が難しく、いつまでも名簿に残り続けている申込者が一定程度存在していると想定される」と分析しています。
東京都社会福祉協議会 東京都高齢者福祉施設協議会 制度検討委員会「令和5年度 東京都内特別養護老人ホーム入所(居)待機者に関する実態調査」
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