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【まとめ】令和6年度から義務化される「介護事業者の経営情報報告」 特養経営者が知っておくべきこと

全ての介護事業者を対象に、毎年の経営情報の報告が令和6年度から義務化されます。これは、これまで3年ごとに行われてきた「介護事業経営実態調査」とは別で、新たに創設されたものです。2025年1月からのデータ提出を前に、特養(ならびに指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針)に絞って、報告内容やスケジュール、Q&Aなど、現時点で公表されている「特養経営者が知っておくべき情報」をまとめました。

報告の対象となる介護サービス、報告義務除外基準

対象となるのは「訪問介護」「訪問入浴介護」「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「通所介護、通所リハビリテーション」「短期入所生活介護」「短期入所療養介護(則第 14 条第4号に掲げる診療所に係るものを除く)」「特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)」「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「夜間対応型訪問介護」「地域密着型通所介護」「認知症対応型通所介護」「小規模多機能型居宅介護」「認知症対応型共同生活介護」「地域密着型特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)」「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」「複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)」「居宅介護支援」「介護福祉施設サービス」「介護保健施設サービス」「介護医療院サービス」「介護予防訪問入浴介護」「介護予防訪問看護」「介護予防訪問リハビリテーション」「介護予防通所リハビリテーション」「介護予防短期入所生活介護」「介護予防短期入所療養介護(則第 22 条の 14 第4号に掲げる診療所に係るものを除く)」「介護予防特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く) 」「介護予防福祉用具貸与」「特定介護予防福祉用具販売」「介護予防認知症対応型通所介護」「介護予防小規模多機能型居宅介護」「介護予防認知症対応型共同生活介護」を提供する事業所・施設となります。

・当該会計年度に提供を行った介護サービスに係る費用の支給の対象となるサービスの対価として支払いを受けた金額が 100 万円以下である者

・災害その他都道府県知事に対し報告を行うことができないことにつき 正当な理由がある者

については、報告は不要です。

報告の単位

原則、介護サービス事業所・施設単位で行うものとなっていますが、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合については、法人単位で報告することとしても差し支えないものとしています。

報告を求める介護サービス事業者経営情報

報告を行う経営情報について、各項目に加えて、「必須・任意」「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針における該当する勘定項目」について解説します。

🔳事業所又は施設の名称、所在地その他の基本情報

・事業所又は施設の名称 ・法人等の名称

・法人番号 ・介護事業所番号 ・介護事業所で提供しているサービスの種類

・法人等の会計年度末 ・法人等の採用している会計基準 ・消費税の経理方式

🔳事業所又は施設の収益及び費用の内容

・介護事業収益_事業活動収入(除く補助金収入、国庫補助金等特別積立金取崩額)

  うち施設介護料収益【任意】_事業活動収入における、介護福祉施設介護料収入

  うち居宅介護料収益【任意】_事業活動収入における、居宅介護料収入

  うち居宅介護支援介護料収益【任意】_事業活動収入における、居宅介護支援介護料収入

  うち保険外収益【任意】_事業活動収入における、利用者等利用料収入

・給与費_事業活動支出における、人件費及び引当金繰入(賞与引当金繰入及び退職給与引当金繰入に限る)の合計額

  うち給与_事業活動支出における、人件費のうち、職員俸給、職員諸手当及び非常勤職員給与並びに引当金繰入のうち、賞与引当金繰入の合計額

  うち役員報酬【任意】_事業活動支出における、人件費のうち、役員報酬

  うち退職給与引当金繰入【任意】_事業活動支出における、人件費のうち、退職金、退職共済掛金及び引当金繰入のうち、退職給与引当金繰入の合計額

  うち法定福利費【任意】_事業活動支出における、人件費のうち、法定福利費

・業務委託費_事業活動支出における、経費(一般管理費)のうち、委託費

   うち給食委託費【任意】

・減価償却費_事業活動支出における、減価償却費

・水道光熱費_事業活動支出における、経費(直接介護費)のうち、光熱水費及び燃料費

・その他費用_事業活動支出における、「給与費」「業務委託費」「減価償却費」「水道光熱費」の項目として報告したものを除くもの

  うち材料費【任意】_事業活動支出における、経費(直接介護費)のうち、「給食材料費」「介護用品費」「医薬品費」の合計額

    うち給食材料費【任意】_事業活動支出における、経費(直接介護費)のうち、給食材料費

  うち研修費【任意】_事業活動支出における、経費(一般管理費)のうち、研修費

  うち本部費【任意】

  うち車両費【任意】_事業活動支出における、経費(直接介護費)のうち、車輌費

  うち控除対象外消費税等負担額 【任意】

・事業外収益【任意】_事業活動外収入及び事業活動収入(補助金収入及び国庫補助金等特別積立金取崩額に限る)

  うち受取利息配当金【任意】_事業活動外収入における、受取利息配当金

  うち運営費補助金収益【任意】_事業活動収入における、補助金収入

  うち施設整備補助金収益【任意】_事業活動収入における、国庫補助金等特別積立金取崩額

  うち寄付金【任意】_事業活動外収入における、寄付金収入

・事業外費用【任意】_事業活動外支出

  うち借入金利息【任意】_事業活動外支出における、借入金利息

・特別収益【任意】_特別収入

・特別費用 【任意】_特別支出

・法人税、住民税及び事業税負担額【任意】

🔳事業所又は施設の職員の職種別人数その他の人員に関する事項

・次の職種ごとのその人数(常勤・非常勤別)

管理者、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、介護職員(介護福祉士)、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師・あん摩マッサージ師、生活相談員・支援相談員、福祉用具専門相談員、栄養士・管理栄養士、調理員、事務職員、その他の職員、上記のうち介護支援専門員・計画作成担当者、上記のうち訪問介護のサービス提供責任者

・上記の職種ごとの給与及び賞与【任意】

🔳その他必要な事項

・複数の介護サービス事業の有無

・介護サービス事業以外の事業(医療・障害福祉サービス)の有無

・医療における事業収益【任意】

・医療における延べ在院者数【任意】

・医療における外来患者数【任意】

・障害福祉サービスにおける事業収益【任意】

・障害福祉サービスにおける延べ利用者数【任意】

報告の提出期限・スケジュール

介護サービス事業者による都道府県知事への介護サービス事業者経営情報の報告は当該介護サービス事業者の会計年度終了後3か月以内に提出することとなっていますが、令和6年度内に実施されるべき報告(令和6年3月31 日から同年12月31日までに会計年度が終了する報告)に限り、報告期限が令和6年度末までとなっています。

令和7年1月以降に、「令和6年度内に実施されるべき報告(令和6年3月 31 日から同年12 月までに会計年度が終了する報告)」の報告が開始され、令和7年3月31日が期限となります。

厚労省資料より

データの提出について

これらの経営情報は「介護事業財務情報データベースシステム(仮称)」を通して行われます。システムへのログインに際しては、GビスサイトからGビズIDアカウントの登録が必要となります。アカウントの作成方法やGビズIDアカウントの運用方法等の手引きなどは令和6年秋頃に、システムの運用マニュアルと併せて公表される予定です。

Gビスサイト トップページ

「介護事業者の経営情報報告」義務化に関するQ&A

【報告の対象】

Q.事業所等において、報告対象となるサービスと報告対象外のサービスを両方行っている場合、報告対象となるサービスのみの報告で問題ないか。また、サービスの対価として100万円超を受け取った場合が報告対象となっているが、本ケースでは、それぞれのサービスの対価が100万円以下であるが、合算して100万円超となる場合に報告が必要となるか。

A.報告対象となるサービスのみの報告で差し支えありません。また、報告対象外のサービスの対価と合算して100万円超となる場合であっても、報告対象となるサービスが100万円以下の場合には、報告は不要です。

Q.「サービス付き高齢者向け住宅」は、本制度の報告対象に含まれるのか。

A.「サービス付き高齢者向け住宅」のうち、「特定施設入居者生活介護」または「地域密着型特定施設入居者生活介護」とみなされるものは報告対象に含まれます。

Q.介護保険法のいわゆる「みなし指定」の事業者である保険医療機関等については、本制度の報告対象に含まれるのか。

A.いわゆる「みなし指定」の保険医療機関等についても、本制度の報告対象となります。

【システムの利用準備】

Q.既に「gBizID プライム」のアカウントを保有しているが、本システム への報告のために改めてアカウントを取得する必要があるか。

A.本システムへの報告のために、新たに「gBizID プライム」のアカウントを取得する必要はなく、既に取得しているアカウントが使用可能です。

【報告を行う単位】

Q.法人内のサービス種別ごとに分けて報告を行うことは可能か。

A.事業所・施設ごとに会計区分を行っている場合については、事業所・施設単位での報告を行う必要がありますが、事業所・施設単位での報告が難しいものの、法人内のサービス種別ごとの報告が可能である場合、サービス種別ごとに報告することは、差し支えありません。例として、「 A事業所:通所介護  B事業所:通所介護 C施設:特別養護老人ホーム D施設:特別養護老人ホームE施設:特別養護老人ホーム」の5つの事業所・施設を運営している法人について、事業所・施設単位での報告が困難である場合に、A~B事業所、C~E施設でそれぞれ報告をまとめて提出することは、差し支えありません。

Q.法人単位で報告する場合であっても、都道府県単位での報告を行う必要があるのか。

A.都道府県単位ではなく、当該法人の全国の事業所データについて、一つの報告にまとめることが可能です。

【収益・費用の報告】

Q.損益計算書等データの勘定科目の金額が「0 円」の場合は省略するこ とは可能か。

A.勘定科目の金額が「0 円」である場合に記載を省略すると、任意項目について「0 円」で登録したのか、又は「報告なし」で登録したのか判別できず、データ分析を行う際に支障が生じることが想定されるため、勘定科目の金額が「0 円」の場合でも省略をせず、記載をお願いします。

Q.決算終了後、会計監査を行うこととされており、当該会計監査の承認が得られないと報告を行うことができず、決算終了後3ヶ月以内の報告が 難しい場合、どのように対応すればよいか。

A.法令等により定められている会計監査に時間を要することにより、やむを得ず3か月以内の報告ができない場合については、監査終了後早急に提出することで差し支えありません。こうした事情がある場合には、管轄の都道府県の担当部局と事前に相談をお願いします。

【職種別の人数・賃金の報告】

Q.職種別の人数については、有資格数を報告するのか、主として従事している職種をもとに報告をするのか。

A.職種別の人数については、主として従事している職種のいずれか一つを報告ください。また、会計年度の初日の属する月に給与を支払った職員数を報告してください。

厚生労働省老健局 介護保険最新情報Vol.1297 介護保険最新情報Vol.1305

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