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【2024介護報酬改定】特養・地域密着型特養 改定の方向性は<daily news pickup>

厚生労働省が11月16日に開催した第231回社会保障審議会介護給付費分科会の資料から、特養並びに地域密着型特養の改定の方向性についてお伝えします。

2024年の介護報酬改定のポイントとして、厚労省は「緊急時の医療提供体制の整備」「透析が必要な入所者の送迎・付き添いの評価」「小規模介護老人福祉施設等の基本報酬の見直し」「小規模介護老人福祉施設の配置基準の緩和」「ユニットケアの質向上・普及促進」の5点を挙げています。

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緊急時の医療提供体制の整備

介護老人福祉施設では医師の配置が義務づけられていますが、必ずしも常勤ではないことから、配置医師が不在時に急変時の対応が難しい状況が発生する場合があります。配置医師が施設にいない時間帯に生じた急変等の対応方法については、「配置医師によるオンコール対応」が最も多いが、「原則、救急搬送」とする施設も3割程度存在しています。しかし、配置医師が担う緊急時の対応について、嘱託契約が6割、1か月の勤務時間数の平均が13.3時間である配置医師に24時間365日の駆けつけ対応を求めることは現実的ではなく、時間外の駆けつけ対応は配置医師にとって採算が合わず、事実上配置医師の持ち出しとなっていること等が指摘されていました。また、診療報酬との給付調整については、配置医師が算定できない診療報酬と、配置医師以外の医師が初・再診料や往診料、検査、処置等、在宅患者訪問診療料を算定できる場合が通知により定められているが、既存の給付調整の仕組みが十分に理解されていないことが調査の結果分かっています。

厚労省資料より

そうした状況に対し、厚労省は次回改定における対応策として、「施設・配置医師・協力病院による緊急時等の対応方針の策定」「緊急時等の対応方針の定期的な見直しの義務づけ」「配置医師緊急時対応加算の見直し」「給付調整のわかりやすい周知」を挙げています。

施設・配置医師・協力病院による緊急時等の対応方針の策定については、配置医師や配置医師以外の医師、看護職員による対応も含め、入所者への医療提供体制を確保する観点から、協力医療機関との連携体制の構築とあわせて、配置医師の対応が困難な場合の緊急対応については、施設・配置医師・協力病院の3者でその役割分担等を協議し、運営基準により施設があらかじめ定めることとされている緊急時等の対応方針(いわゆる緊急時等対応マニュアル)への反映、そして、緊急時等の対応方針について、配置医師・協力病院の協力を得て、定期的な見直し(1年に1回程度)を行うこと

を施設に義務づけることを提案しています。

配置医師緊急時対応加算の見直しについては、これまで配置医師が担ってきた日中の急変対応を評価する観点から、現行、早朝・夜間及び深夜にのみ加算することとされている配置医師緊急時対応加算について、配置医師が、日中であっても、通常の勤務時間外に急変等に対応するために駆けつけ対応を行った場合について、報酬上一定の評価を行うことを提案しています。

加えて、配置医師が算定できない診療報酬、配置医師でも算定できる診療報酬であって特養で一般的に算定されているものについて、誤解されやすい事例を明らかにするなど、わかりやすい方法で周知を行う、としています。

透析が必要な入所者の送迎・付き添いの評価

介護老人福祉施設における通院介助・付き添いは、日常生活上の健康管理として基本報酬により評価していますが、特に、人工透析患者など一定以上頻回に通院が必要な入所者を抱える場合は、送迎コストや送迎時に施設内の職員体制が手薄になるなどの負担が恒常的に生じており、「透析が必要な入所者の日常的な観察・送迎」を要する者について、7割以上の施設で「入所を断る」方針である、と調査の結果、明らかになっています。

厚労省資料より

それに対し、厚労省は次回改定において、「定期的かつ継続的な透析を必要とする入所者」かつ「家族や病院等による送迎が困難である等やむを得ない事由がある者」について、「施設職員が月一定回数以上の送迎を行った場合」、新たな報酬評価を行うことを提案しています。

小規模介護老人福祉施設等の基本報酬の見直し

小規模介護老人福祉施設は、約4割が離島・過疎地域に所在、離島・過疎地域以外に所在する小規模介護老人福祉施設のうち、約64%(小規模介護老人福祉施設全体のうち約39%)は、広域型の介護老人福祉施設と併設されています。そして、小規模介護福祉施設等の基本報酬については、広域型の介護老人福祉施設等と比べて高い基本報酬が設定されています。しかし、小規模介護老人福祉施設の経営状況は立地によって違いが見られ、離島又は過疎地域に所在する施設は経常増減差額が低い傾向となっていること。また、定員規模別の収支差率を見ると、規模の大きい事業所の収支差率が高い傾向が確認できるが、一部の小規模介護老人福祉施設は、広域型の介護老人福祉施設と併設されており、実態上は大規模施設として運営が行われているケースも存在することが分かっています。

厚労省資料より

こうした状況に対し、厚労省は次回改定において、離島・過疎地域以外に所在する小規模介護老人福祉施設であって、広域型の介護老人福祉施設と一体的に運営されている場合には、1年間の経過措置を設けたうえで、通常の基本報酬に統合。加えて、経過的に地域密着型施設よりも高い報酬が設定されている経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(定員26~29名)についても、離島・過疎地域に所在する場合を除き、 1年間の経過措置を設けたうえで、地域密着型施設の基本報酬に統合することを提案しています。また、離島・過疎地域に所在する小規模介護老人福祉施設及び離島・過疎地域以外に所在し、他の広域型の介護老人福祉施設と一体的に運営されていない小規模介護老人福祉施設については、通常の基本報酬への統合は行わず、引き続き統合に向けて経営実態を把握する、としています。

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小規模介護老人福祉施設の配置基準の緩和

定員30名の小規模介護福祉施設は、その設置経緯から、離島や過疎地域等に所在する施設が多く、職員の確保が課題でした。一方、定員29名以下の地域密着型介護老人福祉施設においては、短期入所生活介護等の他サービスと併設する

場合、処遇等が適切に行われる場合に限り、当該他サービスにおいて生活相談員等の職員を置かないことができるとされていました。

こうした状況に対し、厚労省は次回改定において、離島・過疎地域に設置されている定員30名の介護老人福祉施設について、処遇等が適切に行われる場合に限り、地域密着型介護老人福祉施設と同様に、短期入所生活介護事業所等を併設する場合に生活相談員等を置かない配置基準の緩和の実施を提案しています。

ユニットケアの質向上・普及促進

ユニット型介護老人福祉施設の運営基準において、ユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置することが求められていますが、当面の間の取扱いとして、ユニットリーダー研修を受講した従業者を各施設に2名以上配置するほか、研修受講者が配置されているユニット以外のユニットでは、ケアに責任を持つ従業者を決めることで足りる取扱いとしています。しかし、ユニットリーダー研修の受講の課題として「実地研修施設までの距離が遠い」「受講費用の負担感が大きい」などが挙がっていました。ユニット型施設においては、「馴染みの関係」を重視して個別ケアを行う観点から、昼間は1ユニットに1人配置とされているが、新規採用職員の指導に当たる場合や、夜間に担当する他ユニットの入居者の生活歴を把握する目的で、必要に応じてユニット間のケア体制を柔軟化する必要性が求められていました。

厚労省資料より

厚労省は次回改定において、まずは新型コロナウイルス感染症の影響により実地研修が未修了となっている者の早期の研修修了を図るため、複数の研修実施団体に委託できることを研修実施主体である都道府県に対して周知する等、実地研修施設の確保のための環境整備に加え、ユニット型施設の管理者について、ユニットケア施設管理者研修の受講を努力義務とすることを提案しています。また、施設サービスについて、引き続き入居者との「馴染みの関係」を維持しつつ、柔軟なサービス提供によりより良いケアを提供する観点から、必要に応じて、職員の主たる所属ユニットを明らかにした上で、ユニット間の勤務が可能であることを明確化することも併せて提案しています。

厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第231回)「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(改定の方向性)」

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