
公益財団法人介護労働安定センターが公表した令和6年度の介護労働実態調査結果から、「採用手法」に関する事業者の評価、「有料職業紹介所の活用実態」、「採用手法別の定着意向」に関する労働者側の評価などについて解説します。

採用活動に「SNS活用」 事業所の15% 「ホームページで発信」37%
事業所が実施している採用活動について、「ハローワークや福祉人材センターの担当者に相談」「職員に対して友人・知人などの紹介を依頼」が最も多く、ともに約65%前後の事業所が「実施している」と回答しました。以下、「有料職業紹介所を活用」41.5%、「事業所ホームページで自事業所のアピールポイントを求職者へ発信」「民間の有料求人情報サイトを活用」36.6%と続きました。
一方、「採用に効果があった」と回答した割合が多かったものは、「職員に対して友人・知人などの紹介を依頼」「有料職業紹介所を活用」がともに多く、実施事業所の45%前後が「効果あり」と回答。続いて、「民間の有料求人情報サイトを活用」「ハローワークや福祉人材センターの担当者に相談」において、実施事業所の約4割が「効果あり」と回答しました。

有料職業紹介所「3~5社活用」が4割
人材紹介会社や派遣会社などの有料職業紹介所を活用している事業所における、利用社数は「3~5社」が最も多く37.6%でした。また、離職率の高い事業所において活用している数が多い傾向にあることもわかりました。

勤続3年未満の労働者 ハローワーク経由の1割「別の法人や企業などに転職したい」
一方で、勤続3年未満の労働者に対し、採用経路別に今の職場への定着意向を聞いたところ、事業所の考える「効果」とは若干異なる傾向が見られました。
まず、事業所の考える「効果」に近いと思われる、「今の事業所で働き続けたい」と回答した割合(回答数少ない項目除く)では、「法人又は施設・事業所のホームページ」が最も高く約65%、ほか「施設・事業所からの就職の働きかけ 」「友人・知人からの紹介」「折込チラシ、新聞・雑誌の広告」「民間の職業紹介」で半数以上が「今の事業所で働き続けたい」と回答しました。
「別の法人や企業などに転職したい」と回答した割合(回答数少ない項目除く)については、「民間の職業紹介」が最も高く約13%、ほか、「ハローワーク」「求人情報サイト」「施設・事業所からの就職の働きかけ」で1割を超えている結果となりました。

労働者側は自分たちの「超売り手市場」を理解している
これらの調査結果から、労働者側は自分たちが働きたい場所を比較的自由に選べる「超売り手市場」であることを自覚している可能性が読み取れます。各事業所の採用活動においては、「スタートで選ばれる」差別化はもちろん、「選ばれ続ける」継続的な取り組みが人材流出を防ぐために重要であることが推察されます。
公益財団法人介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査