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特養における透析患者の総合的ケアを評価する加算の新設へ~2027年介護報酬改定 特養の改定方向性は

第273回社会保障審議会介護給付費分科会が11月2日に開催され、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養)、介護老人保健施設、介護医療院に関して改定に向けた方向性が提示されました。

今回提示されたのは、賃上げなど介護保険施設全体に共通するものではなく、施設分類別の個別論点で、特養に関しては
(1)介護老人福祉施設における透析患者受け入れ・支援に対する評価
(2)介護老人福祉施設の配置基準等の解釈
(3)経過的小規模介護老人福祉施設等の基本報酬の見直し
(4)加算の趣旨・目的やその取得状況等を踏まえた加算の見直し
(5)安定的な事業運営のための職員配置
の5点です。

介護老人福祉施設における透析患者受け入れ・支援に対する評価

前回の2024年改定では、透析患者の通院に関して特別通院送迎加算(594単位/月)が新設されました。新設の背景には、透析患者の高齢化が挙げられます。

日本透析医学会の調査によると、慢性透析患者数は2021年をピークに緩やかな減少傾向にあり、2024年時点で33万7,414人です。

ご存じのように透析は、週3回の通院が必要な血液透析と在宅で実行が可能で月1~2回で済む腹膜透析がありますが、それぞれの新規導入患者数は血液透析は2020年、腹膜透析は2019年をピークに減少傾向を示しています。

新規導入患者が減少したことは喜ばしい傾向ですが、その分、既存の透析患者が年齢を重ね、透析患者自体が高齢化しています。実際、1985年の慢性透析患者の平均年齢は50.3歳でしたが、約40年後の2024年では70.3歳と20歳も上昇し、2024年の慢性透析患者に占める65歳以上の高齢患者の割合は約67%(22万5,902人)に達しています。今後、特養をはじめとする介護施設への入所を希望する透析患者はさらに増加することが確実視されています。そこで新設されたのが特別通院送迎加算です。

同加算の算定要件は、▽血液透析中の入所者▽家族や病院などによる送迎が困難であるなどのやむを得ない事情がある▽施設職員が通院のための送迎を実施▽1ヵ月に12回以上の通院送迎、の4つです。

しかし、特養現場における受け入れ体制は十分とは言えません。「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」の調査結果を見ると、各種医療処置に関して対応可能と回答した特養の割合は、胃ろう・腸ろう(84.1%)や尿道カテーテル等の管理(91.0%)、喀痰吸引(78.9%)といった処置に比べ、透析は17.6%にとどまっています。実入所者に占める透析患者の割合も1.6%と極めて限定的です。 

実際、介護給付費等実態統計(2025年11月審査分)によると、同加算の算定率は特養で1.1%、地域密着型特養で0.4%とごくわずかにとどまっています。

このため、これまでの分科会では「対象が透析患者のみに限定されているため、対象範囲を拡大すべきではないか」「介護保険施設では透析や外来受診などの送迎、医療機関への必要な情報の伝達などを含め、介護職員・看護職員が対応している状況があり、こうした対応が要介護者の受入れのハードルにならないためにも、十分な評価を設ける必要があるのではないか」「取得率が低調であるため、医療機関の少ない地域も含め、その理由を分析した上で、例えば算定要件を緩和して、より多くの事業者が取得できるようにするなど、透析を要する要介護者が特養への入所に困ることがないよう、さらなる工夫が必要」などの意見が出ていました。

算定が進まない背景には、施設現場の実態との乖離があります。「高齢者施設等と医療機関の連携体制及び協定締結医療機関との連携状況等にかかる調査研究事業」によると、特養入所中の透析患者の送迎方法は、実に59.7%が「透析医療機関の送迎」を利用しており、「施設の車で送迎」している割合は27.3%。加算の要件である「施設職員による月12回以上の送迎」を満たせるケースそのものが限定的でした。

さらに重要なのは、施設での透析患者支援の負担は送迎だけにとどまらないという点です。透析患者全般に共通する支援としては、食塩摂取量や飲水量、体重などの厳格な体液管理、血圧調整や貧血改善に向けた内服管理、医療機関との密接な情報連携が不可欠であり、さらに血液透析患者では、週3回の通院や穿刺部(シャント)の感染や損傷の防止、腹膜透析では月1~2回程度の通院に加え、施設内で日常的にカテーテル出口部の消毒・保護や清潔操作、透析液のバッグ交換など手厚い看護・介護ケアが必要となります。

次回改定では特別通院送迎加算 見直しへ

こうした実態を受け、今回の分科会では事務局側から「透析患者に対する支援は血液透析患者に係る送迎のみではなく、様々な対応が必要であることを踏まえ、透析患者の受入れ体制の整備の推進という観点から、特別通院送迎加算を見直し、透析を継続的に必要とする入所者を受入れ、医療機関との連携体制を確保しながら行う送迎を含む一連の支援を総合的に評価してはどうか」と対応案が提示されました。

これに対し、委員からの反対意見はなく、この方向性で改定が進むものと考えられます。改定の方向性は、特別通院送迎加算を発展的に解消し、透析患者の総合的ケアを評価する加算を新設するという内容になる見込みです。

厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会)第273回資料

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