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【2024介護報酬改定】老健(介護老人保健施設) 改定の方向性は<daily news pickup>

厚生労働省が11月16日に開催した第231回社会保障審議会介護給付費分科会の資料から、老健(介護老人保健施設)の改定の方向性についてお伝えします。

2024年の介護報酬改定のポイントとして、厚労省は「介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能の強化」「短期集中リハビリテーション実施加算」「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」「リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組の推進」「入所者への医療提供(所定疾患施設療養費)」「看取りへの対応の充実(ターミナルケア加算)」「ポリファーマシー解消の推進(かかりつけ医連携薬剤調整加算)」「報酬体系の整理・簡素化(地域連携診療計画情報提供加算、認知症情報提供加算)」の8点を挙げています。

介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能の強化

入退所支援を担う支援相談員の配置について、在宅復帰・在宅療養支援機能が高い類型の施設の方が、関係者との連絡及び調整等の相談援助を業とする国家資格である社会福祉士の配置が多いことから、報酬上の評価を検討すべきという指摘がありました。

これを受けて厚労省では次回改定において、在宅復帰・在宅療養支援等指標について、一定の経過措置を設けた上で、円滑な在宅復帰に向けた取組を更に促進するため、入所前後訪問指導割合及び退所前後訪問指導割合に係る指標の基準を引き上げるとともに、支援相談員の配置割合に係る指標において、社会福祉士の配置の評価を行い、各類型間における基本報酬において、更に評価の差をつけることを提案しました。

短期集中リハビリテーション実施加算

介護老人保健施設におけるリハビリテーションについて、入所直後は集中的なリハビリテーションにより比較的大きくADLが改善することが報告されています。短期集中リハビリテーションについては、入所後3か月間実施されるものであり、効果が期待される一方で、ADL等の評価の頻度は定められておらず、LIFEへの提出は加算の算定要件とされていませんでした。

厚労省資料より

厚労省では次回改定において、短期集中リハビリテーション実施加算について、効果的なリハビリテーションを推進する観点から、原則として入所時及び月1回以上ADL等の評価を行った上で、必要に応じてリハビリテーション計画を見直すとともに、評価結果をLIFEに提出した場合の加算区分を新設し、評価に一定の差を設けることを提案しています。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算

認知症リハビリテーションに関するガイドラインでは、在宅復帰を目標としたリハビリテーションでは、在宅での生活環境をリハビリテーション開始前にアセスメントし、環境に合わせたリハビリテーションを実施することが重要であるとされていますが、現在一部の認知症リハビリテーションでは学習療法や記憶訓練等に比重が偏っており、廃用予防や活動・参加につながる訓練をすべきであるとの指摘がされています。また、また、通所リハビリテーションにおける認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)においては、利用者の生活環境をあらかじめ把握するため、当該利用者の居宅を訪問することが要件とされています。

厚労省資料より

これを受けて厚労省では次回改定において、認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、認知症を有する利用者の居宅における生活環境に対応したサービス提供が行えるよう、当該利用者の居宅を訪問し生活環境を把握することを要件とするほか、利用者の居宅を訪問しない場合については、評価に一定の差を設けることを提案しています。

リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組の推進

介護老人保健施設では、口腔については歯科衛生士の介入を口腔衛生管理加算として評価しており、栄養については管理栄養士の配置された施設において行われる栄養ケアを栄養マネジメント強化加算として評価しています。加えて、リハビリテーションについては、一部類型を除き、基本報酬の要件としてリハビリテーションマネジメントを実施することとされており、加算においてLIFE提出やフィードバックの活用が評価されています。

厚労省資料より

リハビリテーション、口腔、栄養の取組は一体となって運用されることで、より効果的な自立支援・重度化予防につながることが期待されることから、厚労省では次回改定において、介護老人保健施設におけるリハビリテーションマネジメント計画書情報加算について、リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進する観点から、

・口腔衛生管理加算(Ⅱ)及び栄養マネジメント強化加算を算定していること。

・実施計画等の内容について、リハ・口腔・栄養の情報を関係職種間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFE提出情報を活用すること。

・共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行った上で、見直しの内容について関係職種に対しフィードバックを行うこと。

の3要件を満たす場合について評価する加算区分の新設を提案しています。

入所者への医療提供(所定疾患施設療養費)

介護老人保健施設では、肺炎等により治療を必要とする状態となった入所者に対し、施設において投薬等の治療管理を行った場合の評価として、所定疾患施設療養費による評価を行っています。令和3年度改定において、対象に蜂窩織炎が追加されましたが、蜂窩織炎の発症があった施設のうち、医療機関へ転院させた利用者がいた施設の割合が25.0%から9.7%に低下しました。また、別の調査では、心不全(慢性心不全の増悪等)を発症する方がいた施設が一定程度ある中で、医療機関へ転院させた利用者がいた施設の割合は約7割となっていました。医療機関に転院する理由として、約9割の施設が重症度を理由の一つとしてあげたが、他の理由として、報酬上の評価がされていないことも一定程度あげられました。

厚労省資料より

急性疾患を発症した入所者が、当該者の状態に応じ、適切な場において必要な医療が提供されるために、厚労省は次回改定において、慢性心不全が増悪した場合について所定疾患施設療養費の対象として追加することを提案しています。

看取りへの対応の充実(ターミナルケア加算)

介護老人保健施設における看取り対応として、死亡日を含めて45日の間で施設において行うターミナルケアを評価するターミナルケア加算があり、施設類型別の分析では、超強化型や強化型は基本型と比べ、死亡日31日以前の加算算定が少なく、死亡日が近づいてから入所し、看取りが行われている割合が高くなっています。看取り期における対応では、終末期に必要な投薬や検査など手厚い対応が行われている一方で、介護老人保健施設では医療費等が基本報酬に含まれていることから、当該医療コスト等は施設の持ち出しとなるケースが多数発生しています。

厚労省資料より

厚労省では次回改定において、介護老人保健施設における看取りへの対応を充実する観点や在宅復帰・在宅療養支援を行う施設における看取りを適切に評価する観点から、ターミナルケア加算について、死亡日から期間が離れた区分における評価を引き下げ、死亡直前における評価をより一層行うよう重点化を図るよう提案しています。

ポリファーマシー解消の推進(かかりつけ医連携薬剤調整加算)

介護老人保健施設では、入所者のうち約半数が入所時に6種類以上の内服薬を処方されており、そのうち約35%は退所時に1種類以上減薬しているなど、一定のポリファーマシー解消のための取組が行われています。一方、介護老人保健施設においてポリファーマシー対策を積極的に行っている施設は約6割にとどまっています。利用者のかかりつけ医と連携し、薬剤を減らす取組を評価するかかりつけ医連携薬剤調整加算の算定率は5.8%と低く、算定が困難な理由として、「入所者の処方内容を変更する可能性があることについて、入所者の主治の医師から合意を得ること」等の理由が挙げられています。

厚労省資料より

これを受けて厚労省では、次回改定において、かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)について、現在は入所前の主治医と連携した上で処方内容を総合的に評価・調整を行った場合を評価しているが、施設におけるポリファーマシー解消の取組を推進する観点から、入所前の主治医と連携して薬剤を評価・調整した場合に加え、施設において薬剤を評価・調整した場合について評価するとともに、入所前の主治医と連携して薬剤を評価・調整した場合を高く評価することを提案しています。

加えて、施設におけるポリファーマシー解消の取組を推進する観点から、病院の入院患者におけるポリファーマシー解消のための診療報酬上の取組を参考に、

・ 処方を変更する際の留意事項を医師、薬剤師及び看護師等の多職種で共有し、処方変更に伴う病状の悪化や新たな副作用の有無について、多職種で確認し、必要に応じて総合的に評価を行うこと

・ 入所前に6種類以上の内服薬が処方されている方を対象とすること

・ 入所者や家族に対して、処方変更に伴う注意事項の説明やポリファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うこと

を新たに要件とすることを提案しています。

報酬体系の整理・簡素化(地域連携診療計画情報提供加算、認知症情報提供加算)

地域連携診療計画情報提供加算は、大腿骨頸部骨折または脳卒中の患者について、診療報酬の地域連携診療計画加算を算定して退院したものについて、医療機関の作成した診療計画に基づき治療等を行った上で、当該医療機関に診療情報を提供した場合を評価する加算ですが、算定率は0.6%にとどまっています。また、認知症情報提供加算は、認知症患者を認知症疾患医療センターや認知症の鑑別診断等に係る専門医療機関に照会した場合を評価する加算であるが、算定率は0.0%となっています。

厚労省では、この両加算について、算定率が著しく低いことを踏まえ、廃止を提案しています。

第230回社会保障審議会介護給付費分科会「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)

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