
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが3月に公表した令和6年度介護報酬改定後の特養ならびに地域密着型特養の加算や経営に関する最新調査結果から、施設における医療処置の状況について解説します。

医療処置が必要な入所者の有無
令和6年9月1か月における、該当の医療処置が必要な入所者が1人以上いる事業所の割合について、「褥瘡・創傷の処置」が87.2%と最も多く、次いで「浣腸・摘便」が85.7%でした。

施設の看護師が月1回以上行った医療処置
令和6年9月1か月において、施設の看護師が1回以上行った医療処置について、「褥瘡・創傷の処置」が87.4%と最も多く、次いで「浣腸・摘便」が87.2%、「たんの吸引」が84.0%でした。

各医療処置についての受け入れ方針
各医療処置についての受け入れ方針について、「入所は断らない」の割合は「摘便・浣腸」が91.5%と最も多く、次いで「褥瘡・創傷の処置」が74.0%、「膀胱留置カテーテルの管理」が71.9%であった。一方で、「新規の入所は断り、入所中の者に必要となった際は退所となる」の割合は「レスピレータの管理」が90.8%と最も多く、次いで「中心静脈カテーテルの管理(CVポートを含む)」が82.1%、「モニター測定(心電図やSpO2等の24時間常時測定)」が79.0%でした。

医療ニーズがある方の受け入れのための課題
医療ニーズがある方の受け入れのための課題について、「夜間に対応可能な体制が構築できない」が72.5%と最も多く、次いで「医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養等)が行える介護職員が不足している」が63.7%でした。その他の意見では、「医療スタッフをはじめとするスタッフのスキル不足」「施設として知識が不足している」「医療処置を行うための設備が不十分」「夜間に宅直看護師が呼ばれる事が増える」「医療処置をしても施設の収入にならない」「物品にコストがかかり、施設負担が増す」「生活の場という本来の目的にそぐわない」「入所者間でのトラブル、多床室によるトラブル」などが挙がりました。


三菱UFJリサーチ&コンサルティング「特別養護老人ホームにおけるサービス提供のあり方に関する調査研究事業」