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施設長・経営層が知っておくべきハラスメント対策(5)妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント

男女雇用機会均等法第15条では、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業法第25条では、育児・介護休業等に関するハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。

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妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメントとは

妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントとは、職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児・介護休業等の制度等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児・介護休業等の制度等を利用しようとした又は利用した男女労働者の就業環境が害されることを指します。

妊娠の状態や育児・介護休業等の制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。

また、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものはハラスメントには該当しません。

業務上の必要性の判断について、例えば、部下が休業等をするとなると、上司としては業務の調整を行う必要があります。そのため、ある程度調整が可能な休業等(例えば、定期的な妊婦健診の日時)について、その時期を調整することが可能か労働者の意向を確認するといった行為までがハラスメントとして禁止されるものではありません。

「制度等の利用への嫌がらせ」による妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント 

妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメントは、「制度等の利用への嫌がらせ」によるものがあり、制度又は措置(制度等)の利用に関する言動により就業環境が害されるものを指します。

対象となる制度又は措置

度又は措置(制度等)については、男女雇用機会均等法が対象とするものと育児・介護休業法が対象とするものに2つあります。

男女雇用機会均等法が対象とする制度又は措置

・産前休業
・妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)
・軽易な業務への転換
・変形労働時間制での法定労働時間を超える労働時間の制限、時間外労働及び休日労働の制限並びに深夜業の制限
・育児時間  など

育児・介護休業法が対象とする制度又は措置

・育児休業(産後パパ育休を含む)
・介護休業
・子の看護等休暇
・介護休暇
・所定外労働の制限
・時間外労働の制限
・深夜業の制限
・育児のための所定労働時間の短縮措置
・始業時刻変更等の措置
・介護のための所定労働時間の短縮等の措置
・柔軟な働き方を実現するための措置

防止措置が必要となるハラスメント

解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの

労働者が、制度等の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。以下同じ。)をしたい旨を上司に相談したことや制度等の利用の請求等をしたこと、制度等の利用をしたことにより、上司がその労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆することです。

該当例
・産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら辞めてもらう」と言われた
・時間外労働の制限について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた

ハラスメントの対象となる労働者は、妊娠・出産に関する制度を利用する(利用しようとする、利用した)女性労働者及び育児・介護に関する制度等を利用する(利用しようとする、利用した)男女労働者でハラスメント行為者となり得るのは上司です。

「解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの」とは、労働者への直接的な言動である場合に該当し、1回の言動でも該当します。

制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの

以下のような言動が該当します。
・労働者が制度の利用の請求をしたい旨を上司に相談したところ、上司がその労働者に対し、請求をしないように言うこと
・労働者が制度の利用の請求をしたところ、上司がその労働者に対し、請求を取り下げるよう言うこと
・労働者が制度の利用の請求をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、請求をしないように言うこと
・労働者が制度利用の請求をしたところ、同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に、その請求等を取り下げるよう言うこと

該当例
・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている
・産後パパ育休の取得を周囲に伝えたところ、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき」と繰り返し言われ苦痛に感じた
・介護休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべき」と言われた。「でも自分は請求したい」と再度伝えたが、再度同様の発言をされ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている

ハラスメントの対象となる労働者は、妊娠・出産に関する制度を利用する(利用しようとする)女性労働者及び育児・介護に関する制度等を利用する(利用しようとする)男女労働者で、ハラスメント行為者となり得るのは、上司・同僚です。

労働者への直接的な言動である場合に該当します。また、単に言動があるのみでは該当せず、客観的にみて、一般的な労働者であれば、制度等の利用をあきらめざるを得ない状況になるような言動を指します。

上司がこのような言動を行った場合は、1回でも該当しますが、同僚がこのような言動を行った場合については、繰り返し又は継続的なもの(意に反することを伝えているにもかかわらず、このような言動が行われる場合はさらに繰り返し又は継続的であることは要しません)が該当します。

労働者が制度の利用を請求したところ、上司が個人的に請求を取り下げるよう言う場合については、ハラスメントに該当し、事業主は措置を講じる必要があります。一方、単に上司が個人的に請求等を取り下げるよう言うのではなく、事業主として請求等を取り下げさせる(制度等の利用を認めない)場合については、そもそも制度等の利用ができる旨規定している各法(例えば産前休業の取得であれば労働基準法第65条第1項)に違反することになります。

事業主が労働者の事情やキャリアを考慮して、育児休業等からの早期の職場復帰を促すこと自体は制度等の利用が阻害されるものに該当しません。ただし、このような場合でも職場復帰のタイミングは労働者の選択に委ねられるべきものであり、早期の職場復帰を強要し、制度等の利用を阻害するような場合はハラスメントに該当します。

制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの

労働者が制度等を利用したところ、上司・同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることをいいます。「嫌がらせ等」とは、嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、又は専ら雑務に従事させることを指します。

該当例
・上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人には大した仕事はさせられない」と繰り返し又は継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)
・上司・同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)

ハラスメントの対象となる労働者は、妊娠・出産に関する制度等を利用した女性労働者及び育児・介護に関する制度等を利用した男女労働者で、ハラスメント行為者となり得るのは、上司・同僚です。

労働者への直接的な言動である場合に該当します。また、単に言動があるのみでは該当せず、客観的にみて、一般的な労働者であれば、能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものを指します。

上司、同僚のいずれの場合であっても繰り返し又は継続的なもの(意に反することを伝えているにもかかわらず、さらにこのような言動が行われる場合はさらに繰り返し又は継続的であることは要しません)が該当します。

言葉によるものだけではなく、必要な仕事上の情報を与えない、これまで参加していた会議に参加させないといった行為もハラスメントになります。

「状態への嫌がらせ型」による妊娠・出産等に関するハラスメント

女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境が害されるものを指します。

対象となる事由

介護業界において、対象となる事由は以下です。

・妊娠したこと
・出産したこと
・産後の就業制限の規定により就業できず、又は産後休業をしたこと。
・妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと。
※「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻(にんしんおそ)、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいいます。

防止措置が必要となるハラスメント

解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの

女性労働者が妊娠等したことにより、上司がその女性労働者に対し、解雇その他の不利益な取扱いを示唆することです。

該当例
・上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた

ハラスメントの対象となる労働者は、妊娠等した女性労働者で、ハラスメント行為者となり得るのは、上司です。「解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの」とは、労働者への直接的な言動である場合を言い、1回の言動でも該当します。

妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの

女性労働者が妊娠等したことにより、上司・同僚がその女性労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることを指します。

該当例
・上司・同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し又は継続的に言い、仕事をさせない状況となっており、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む)
・上司・同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む)

ハラスメントの対象となる労働者は、妊娠等した女性労働者で、ハラスメント行為者となり得るのは、上司・同僚です。

労働者への直接的な言動である場合に該当します。また、単に言動があるのみでは該当せず、客観的にみて、一般的な女性労働者であれば、能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等その労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものを指します。

上司と同僚のいずれの場合であっても繰り返し又は継続的なもの(意に反することを伝えているにもかかわらず、このような言動が行われる場合はさらに繰り返し又は継続的であることは要しません)が該当します。

言葉によるものだけではなく、必要な仕事上の情報を与えない、これまで参加していた会議に参加させないといった行為もハラスメントになります。

厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」

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