独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループが公表した「2023年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査結果」(2023年10月27日(金)~11月24日(金)に実施、特養を運営する社会福祉法人769法人が回答)から、特養の人材紹介会社の利活用の現状についてお伝えします。
人材紹介会社の利用による採用の有無
正規職員(新卒または中途)を募集する際に人材紹介会社を利用した施設に対し、採用の有無を聞いたところ、66.9%が「採用した」回答しました。
人材紹介会社へ支払った手数料
正規職員1名の採用に支払った手数料は平均91.7万円、1年間で人材紹介会社に支払った手数料の総額は平均290.8万円となり、サービス活動収益の0.75%に相当する金額となっていることが分かりました。手数料の水準について84.7%の施設が「とても高い」と回答しています。
紹介手数料や保証期間・返戻率について、意見・要望を聞いたところ、「早期離職の可能性もあり施設としてはリスクしかないが、紹介会社経由での応募ばかりなので使わざるえない状況」「紹介料が理論年収の20-30%と高額なため、紹介料の上限規制を設けてほしい」「小規模な法人では使いづらい」「退職した場合の補償が短い(大体3か月)ので1年以内に退職した場合も一部返金としてほしい」「入職後、一定期間が過ぎてしまうと退職後の返金率が格段に下がる」などの意見が挙がりました。
人材紹介会社の定着率・満足度
人材紹介会社を利用して採用した職員の定着率は、それ以外の方法で採用した職員と比べ、「同じくらい」が53.6%で、「定着率が低い」が43.4%でした。満足度は「とても不満足」「やや不満足」を合わせると78.7%を占めました。
医療・介護・保育分野における適正な有料紹介事業者の認定制度
人材紹介会社を利用して採用した施設に対し、「医療・介護・保育分野における適正な有料紹介事業者の認定制度」の認知度を聞いたところ、「よく知っている」「やや知っている」が合わせて61.0%、制度の認知度が高い方が、認定事業者を積極的に利用していました。
独立行政法人福祉医療機構 「2023年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査結果」 「2023 年度特別養護老人ホームの人材確保に関する調査について」
【関連トピックス】
7割の特養が「人員不足」を実感~特別養護老人ホームの人材確保 最新調査結果から(1)人員の状況
ほとんどの特養で介護職員が、6割の施設で看護職員が退職~特別養護老人ホームの人材確保 最新調査結果から(2)退職の状況
特養の新卒採用 実施施設の半数以上が「新卒採用ゼロ」 中途も約15%が「採用できず」~特別養護老人ホームの人材確保 最新調査結果から(3)採用の状況
6割の特養で介護助手を導入も半数以上が60歳以上~特別養護老人ホームの人材確保 最新調査結果から(5)介護助手の活用
特養の外国人雇用 増加傾向も居住場所や資格取得等の費用負担から踏み切れない施設も~特別養護老人ホームの人材確保 最新調査結果から(6)外国人人材の雇用
【関連資料】
【2023最新データ】介護職員「はたらく」実態 データBOOK
【2023最新データ】人材難時代を”勝ち抜く”ための介護施設 採用・離職防止データBOOK