
65歳以上の高齢者が全人口の34.8%に達する2040年を見据え、介護保険制度の持続可能性をどう維持していくかが大きな問題となっています。2027年の介護報酬改定を前に、現在の介護保険制度がどうなっているのか、高齢化はどう進むのか、などの介護保険を取り巻く最新データを図解で解説します。
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高齢者人口_「高齢者の高齢化」が進み、1人あたりの介護給付費は増加傾向に
75歳以上人口は2000年以降、急速に増加しましたが、2030年にその増加スピードは一旦落ち着くものの、その後再び増加基調に。ピークの2055年には2,479万人に達すると予測されています。さらに、85歳以上の人口は75歳以上人口を上回る勢いで増加。2060年には1,170万人に達すると予測されています。

75歳以上人口は、人口構成が比較的若い県で今後増加し、もともと高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加する見込みです。

2040年には、85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が起こります。ほぼ全ての地域で生産年齢人口は減少し、都市部では高齢人口が増加。過疎地域では高齢人口が減少します。

2015年人口に対する2050年の人口予測では、558市町村(全市区町村の約3割)が人口半数未満になり、そのうち21市町村が25%未満となります。特に、人口が半減する市町村は中山間地域等に多く見られています。

介護サービス需要_2040年にピークもそれ以前に需要が減少する地域も
介護保険制度の被保険者は、「65歳以上の者(第1号被保険者)」「0~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)」となっています。介護保険サービスは、65歳以上の者は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、40~64歳の者は末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に、受けることができます。

高齢化の進展に伴い、介護保険サービス利用者も増加。制度開始の2000年度には184万人でしたが、2023年度では609万人と3倍以上となっています。

要介護認定率や一人当たり介護給付費は年齢が上がるにつれ上昇し、特に、85歳以上で増加しています。

2050年までの介護サービス利用者数を推計すると、都市部を中心に2040年以降まで増加する一方、ピークを過ぎ減少に転じた地域もあります。また、最も利用者数が多くなる年の利用者数の2022年の利用者数との比(増加率)をみると、+60%以上の急激な増加となる保険者は13%にとどまり、+20%未満の保険者が44%を占めました。

特別養護老人ホーム(特養)をはじめとする施設系サービスについて、全体の利用者数は2030年までは急激に伸びますが、それ以降は増加が緩やかになり、2040年に126万人でピークを迎えます。また、市の23.3%、町村の47.7%が2030年までに施設サービス利用者のピークが過ぎるなど、自治体によってピークの時期に大きな差があります。

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財源・給付費・利用者負担_給付費は年々増加。利用者負担も2000年の2倍以上に
介護保険の保険給付費・地域支援事業費は、年々増加。令和5年度は11.3兆円となり、介護保険制度がスタートした2000年度の約3.5倍になっています。

65歳以上が支払う第1号保険料についても、制度開始の2000年度が2911円でしたが、令和8年度では6225円と2倍以上の負担となっています。

介護保険給付の給付費のサービス種類別の内訳について、サービス利用者のうち、居宅・地域密着型サービスは約84%、施設サービスは約16%ですが、 給付費においては、居宅・地域密着型サービスは約66%、施設サービスは約34%となっています。

令和8年度予算額ベースの介護保険財政について、保険料からの収入が約6.8兆円、国庫負担が約3.2兆円、都道府県・市町村からの負担が約3.6兆円という内訳になっています。

介護人材確保_度重なる処遇改善施策も介護職員増加の起爆剤とはならず
第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数を集計した結果、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人が必要とされています。

介護職員数は、令和5年度時点で統計開始後初めて減少に転じ、212.6万人に減少。介護職員の処遇改善や職員のキャリアアップのための研修受講支援、ICT等のテクノロジーを活用した生産性向上の推進による現場の負担軽減・職場環境の改善など、様々な施策を行なったものの、令和6年度では487人の増加にとどまっています。また、全産業平均との賃金差もほぼ横ばいとなっています。


介護関係職種の有効求人倍率は、依然として高い水準にあり、全職業より高い水準で推移。介護分野の有効求人倍率は、地域ごとに大きな差異があります。


【まとめ】「近い将来」ではなく「現在の問題」として2040年問題の対策を
高齢化の進展とそれに伴う介護サービス・施設サービスの需要は、全国的には2040年がピークとされていますが、地域によって実情は大きく異なります。施設サービスに絞っても、需要は2030年には頭打ちになるなど、中山間地域を中心に2030年ごろから生き残り戦略が始まると言っても過言ではありません。一方、都市部の施設においても、急激に増加するニーズと急激に悪化する人手不足にどう対応するかが求められています。
「これまでもうまく回っていたから良し」とせずに、今現在進行中の問題として、働く環境の仕組みを変えるなど大きな変革が求められています。
参考文献:厚生労働省「第256回社会保障審議会介護給付費分科会」資料
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