規制改革推進会議が6月1日に公開した「規制改革推進に関する答申」から、介護に関連し、報酬改定にも影響を及ぼしそうなトピックを2回シリーズで紹介します。
答申の医療・介護・感染症対策分野では、「働き方の変化への対応・運営の合理化」の項目で、人員配置基準や常勤要件の見直しなどについて記載しています。
介護サービスにおける人員配置基準の見直し
・介護サービス種別ごとの管理者に係る人員配置基準について、経営能力を持つ人材には限りがあることを踏まえつつ、様々な介護サービスを行う複数の事業所を効率的に運営し、かつ、運営の生産性向上や職員のやりがいの最大化を図る観点から、同一の管理者が複数の介護サービス事業所を管理し得る範囲の見直しについて、社会保障審議会介護給付費分科会等での意見を聴き、結論を得る。
・介護サービスの人員配置基準に係る地方公共団体による独自ルールの有無・内容等を整理し、公表することについて検討する。
報酬制度における常勤・専任要件の見直し等
・診療報酬改定及び介護報酬改定に当たって、常勤又は専任の有資格者の配置要件等について、質が担保された医療及び介護が提供されることを前提に、医療従事者及び介護従事者の柔軟な働き方の支援の観点から、必要な検討を行う。
・サービスの質の確保を前提としつつ、 センサー等のロボット等の導入を通じた生産性向上が促されるよう、必要な措置を検討する。
人材確保の円滑化のための有料職業紹介事業等の制度の見直し
・医療、介護、保育の3分野を扱う紹介事業者において、お祝い金その他これに類する名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供すること を禁止する指針の規定や紹介事業者がその紹介により就職した者に対し2年間の転職の勧奨を禁止するといった指針の遵守が徹底されるよう、3分野の求人者向け特別相談窓口をよ り広く周知し、3分野の求人者からの相談を積極的に受け付けるとともに、3 分野を扱う紹介事業者への集中的指導監督を実施。必要に応じ所要の措置を検討する。
・紹介事業者による指針違反の具体的状況を求人者が把握することは困難であることを踏まえた相談受付を行うとともに、集中的指導監督に当たっては、紹介事業者の紹介先求人者等に対する調査を含め、より実効性のある調査手法を活用することとする。
・求人者が紹介事業者を選択する際の参考となるよう、3分野を扱う紹介事業者により就職した者の離職や紹介手数料に関する統計データを適切に利活用することにより、実勢手数料の平均値及び分布並びに職種別離職率について、地域(紹介事業者数に応じて、都道府県又はより広域のエリア) ごと及び職種ごとに、毎年度公表する方向で細部を検討し、結論を得る。
・厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で公開されている紹介事業者ごとの離職状況について、「判明せず(人)」欄に多数を計上しており、離職率の正確な状況が明らかでない紹介事業者が存在することを踏まえ、当該欄に計上した人数が相当程度多い紹介事業者に対して、追跡調査を徹底させるとともに、 これら離職者数の公表期間を、現行の2年から5年へ延長する。
・3分野の求人者のニーズを踏まえ、6ヶ月以内の離職の場合に相当額の手数料の返還を行うことを含め、認定基準の追加等について検討し、結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
・ハローワークの人材確保対策コーナーを中心に、労働者が定着しない個々の理由に着目した求人者への支援強化を、関係機関と協力して実施する。また、業界団体と連携したイベントの開催等を積極的に実施するとともに、オンライン上での求人者・求職者双方の利用を推進する。
・ハローワークが求職者支援のみならず求人者に対する支援機能をこれまで以上に発揮するとともに、介護施設等の合理的な選択を可能とするため、ハローワークごとの職種別の就職実績を毎年度公表する。
この答申内容は、6月中旬頃に閣議決定される規制改革実施計画に記載される見通しです。
規制改革推進会議「規制改革推進に関する答申~転換期におけるイノベーション・成長の起点~」
【関連トピックス】
<おさらい>2021年(令和3年)度の介護報酬改定はどのような方向性だったのか
シリーズ 令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会から
・特養における医療提供機能の現状と課題
・有料老人ホームなどの特定施設における医療提供機能の現状と課題
【関連資料】
【2023最新版】財務諸表から読み解く 黒字の特養 赤字の特養