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【独自調査】7月30日カムチャツカ半島沖地震に伴う津波警報・注意報 最大3時間の避難を続けた施設も

2025年7月30日8時24分頃、カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生。北海道から紀伊半島の太平洋側に津波警報が、その他地域でも広範に津波注意報が発令されました。40度に迫る気温が全国各地で観測された日中の津波警報・注意報に対し、高齢者施設はどう対応をしたのでしょうか?

ドクターメイトではメールマガジン読者を対象に、8月1日(金)~8月6日(水)にかけて緊急Webアンケートを実施しました。その結果をお伝えします。

屋内避難を実施、3時間待機した高齢者施設も BCPの訓練・研修「役に立った」施設多く

津波注意報が発令された沖縄県の有料老人ホームでは、屋内避難(高い階への移動)を実施。避難完了まで30~1時間を要し、そのまま3時間ほど待機し続けた、とのことでした。

また、津波警報が発令された青森県の特別養護老人ホームでは、同法人の別施設に避難する屋外避難を実施、15分いないで避難を完了させたとのことです。同施設の施設長は「当施設の利用者ではないが、避難所に避難した在宅利用者が適切な介護を受けられない状態で6時間避難所にいたという話を聞いた。その利用者は結果として当事業所の短期入所生活介護を緊急利用することになった」とコメント。長時間の警報・注意報発令が想定外の対応を迫られたことを語っています。

今回の津波警報・注意報発令により、BCPは役に立ったか、という問いに対し、避難を検討・実施した施設の多くが「大いに役に立った」「ある程度役に立った」と回答。BCPが効果的に活用されていることが分かりました。

暑さ、地域住民の避難など 想定外のことが起こった今回の地震・津波

今回の地震に伴う津波警報・注意報の対応として「想定外だったこと」を伺いました。その一部をご紹介します。

・長時間かつ「いつまで」という目途がたたない避難(青森県 特別養護老人ホーム 管理者)
・寒さについては常に考えているが、猛暑下での避難は考えていなかった。また市役所も避難勧告地域だったので、行政に繋がりにくかった(青森県 障がい者支援施設 施設長)
・被害が無いが交通機関の乱れ、行政から安否確認が来ること(兵庫県 障がい者支援施設 施設長)
・地区内で避難受入場所の一つとして指定されていたが、数十人の住民が施設に一気に押し寄せてきたこと(和歌山県 特別養護老人ホーム 施設長)
・炎天下の中での防暑・熱中症対策(東京都 サ高住 管理者)
・行政からの指示待ちだと安全を守れないかもしれないということ(兵庫県 特別養護老人ホーム 主任)
・必要性に迫られていない、という職員の認識(徳島県 老健 管理栄養士)

BCPに追加の必要がある項目・対策は

今回の地震に伴う津波警報・注意報の対応を受けて、「今あるBCPに追加で検討・準備が必要な項目・対策」について伺いました。

・真夏や真冬での対応を検討する必要がある(千葉県 特別養護老人ホーム 副施設長)
・炎天下での電源喪失(熱中症対策、冷却の代替案)、死亡者が出た場合の対応(葬儀社はすぐに来られない、腐敗が進むのが早いので遺体の保全管理)(愛知県 特別養護老人ホーム 副主任)
・継続的に避難命令が出た際の人員配置の工夫(沖縄県 有料老人ホーム 課長)
・行政機関が機能不全になった時の対応(青森県 障がい者支援施設 施設長)
・地域住民の受け入れの人数対策(和歌山県 特別養護老人ホーム 施設長)
・情報の共有と情報と指示の一元化(青森県 特別養護老人ホーム 施設長)
・水分提供・簡易式トイレ準備、暑さ対策など(岡山県 病院 看護部長)
・猛暑の中、歩いて避難は現実的はないのでなん通りのも避難方法が必要と思った。避難指示はなかったが、スタッフの少ない時間帯の夜間などの避難指示あれば垂直避難として最上階に行く予定でした。(岡山県 サ高住 統括マネージャー)
・低い土地への送迎、配食サービス実施可否の判断基準の追加(沖縄県 特別養護老人ホーム 部長補佐)
・施設所在地域の過去の被災記録、地盤の現在と過去の比較記録が手元に欲しいと感じた。実際、記録収集は極めて困難なのが現状です。高齢者からの思い出から察する事が実用的ですが、記憶も定かでなくなっているのも現状です。(新潟県 ケアハウス 介護職)
・職員の意識改革(徳島県 老健 管理栄養士)

想定外の施設も多かった「真夏」の長時間避難

東日本大震災が冬の季節の発生だったこともあり、「寒さ」に対しての対策は多くの施設で整えていたことに加え、数日前から準備ができる大雨や台風などの水害とも異なり、突然、避難指示や避難命令が発令された今回のカムチャツカ半島沖地震。高齢者施設における自然災害のBCP対策にもより幅広い災害への対策が必要となるでしょう。

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