公益財団法人介護労働安定センターが公表した、令和5年度の介護労働実態調査の労働者調査結果から、就労及び労働条件、賃金、能力開発の状況、仕事への満足度や悩みといった就業意識等について解説するシリーズの8回目。労働者調査は令和5年10月に行われ、20,699名からの回答がありました。
介護分野での仕事の継続意向 過半数が「今の仕事を続けたい」
今後、どのような仕事(職種)をしたいかについて、「今の仕事(職種)を続けたい」が最も多く、56.0%を占めました。また、現在の職場での勤続意向を尋ねたところ、「今の事業所で働き続けたい」は 49.9%、「別の法人や企業などに転職したい」は 10.6%、「今の法人内の別の事業所に転勤したい」 は 2.1%となりました。年齢層別では、「今の事業所で働き続けたい」が 55 歳未満の層で全体を下回り、それ以上では年齢層が上がるほど上回っています。
「より上位の職位を目指したい」15%にとどまる
今後、より上位の職位を目指すかについて、「より上位の職位を目指す」は 15.1%、「今のままでよい」は 75.4%となりました。年齢層が若いほど「より上位の職位を目指す」の割合が多くなっています。
他に取りたい資格「ある」38.5%
現在保有している資格について、「介護福祉士」が 59.2%で最も多く、続いて「ホームヘルパー2級」の 28.0%、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」の 18.7%、「実務者研修」の 15.6%、「看護師・准 看護師」、「介護職員初任者研修」の 12.9%の順となりました。他に取りたい資格があるか、については「ある」と回答したのは全体の 38.5%でした。資格の種類については、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」が 37.0%で最も多く、続いて「介護福祉士」の 24.1%、「社会福祉士」の 14.7%の順で、「選択肢以外の介護福祉関係の資格」 も 12.4%に上りました。
役立ったスキルアップ研修「感染症」「認知症」
これまで受けた研修の中で、自分の能力アップ・スキルアップに役立った研修について、「感染症」が 43.3%、「認知症の基礎的理解」が42.9%となり、「事故防止、安全対策(リスクマネジメント)」39.5%、「認知症ケア(対応方法)」の 37.8%、「終末期ケア(ターミナルケア)」の 22.3% の順とななりました。
今後受けてみたい研修は、「薬の知識」が 30.6%で最も多く、続いて「精神保健(こころのケア、 精神障がい)」の 26.6%、「終末期ケア(ターミナルケア)」の 24.0%、「医学の基礎知識」の 22.5% と、医療領域に踏み込む内容が上位を占めています。
働き続けるうえで役立っている職場の取り組み
職場が実施している雇用管理の取り組みのうち、実際に役立っているものについて、 「ハラスメントのない人間関係のよい職場づくりをしている」が 37.8%で最も多く、続いて「仕事の内容は変えずに、労働時間や労働日を本人の希望で柔軟に対応している」の 35.9%、「職場のミ ーティング等で、介護の質を高めるための価値観や行動基準を共有している」の 33.8%、「仕事上 のコミュニケーションの円滑化を図っている(上司との定期的なミーティング、意見交換会など)」 の 30.7%の順となりました。
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」
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