厚生労働省 職業安定局需給調整事業課は医療・介護・保育の3分野の有料職業紹介事業において行われた集中指導監督の実施状況について報告しました。集中指導は令和5年8月から令和6年5月にかけて実施、1,152 事業所のうち、実に6割にあたる716 事業所で職業安定法等の違反が指摘されました。
お祝い金に関する指導事例としては、
・面接実施時に電子ギフトカード(数千円)を支給
・知人を紹介した人、紹介されて求職登録した人それぞれに対して旅行券(数万円)や電子ギフトカード(数千円)を支給
・資格取得費用又は研修講座受講費用(数万円程度)のキャッシュバックを実施
・紹介により就職し一定期間後にアンケート回答した場合に支給(数万円程度)
・求職登録し就職した者を対象とした無料宿泊券の支給
手数料に関する指導事例としては、
・厚生労働大臣に届け出た手数料表の上限を超える 手数料額を徴収(手数料表の変更届提出なし)
・求人者及び求職者に対して手数料に関する事項を書面等で明示していない
・人材サービス総合サイトへの情報不掲載、または内容が不明瞭・実際のものと相違あり
返戻金の明示等に関する指導事例としては、
・求人者及び求職者に対して返戻金制度に関する事項を書面等で明示していない
・返戻金制度に関する事項について事業所内の一般の閲覧に便利な場所に掲示していない
などが指摘されました。
労働条件等の明示など、求人側にも注意が必要な指導事例も
また、有料職業紹介事業者だけでなく求人側にも是正が必要な労働条件等の明示に関する指導も以下のようなものがありました。
・就業場所における受動喫煙を防止するための措置が明示されていない
・試用期間に関する事項が明示されていない
・社会保険、労働保険の適用に関する事項が明示されていない
・賃金形態、通勤手当、休憩時間、昇給に関する事項が明示されていない
これら労働条件を明示することは入社後のミスマッチによる離職を防ぐだけでなく、求人情報を積極的に公開していることで応募数にも大きな影響があります。「対岸の火事」ではなく、人事担当者も肝に銘じておくべきでしょう。
厚生労働省「医療等3分野の集中指導監督の実施状況」
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